マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
センバツを関西勢が席巻する予感。
智弁の西岡、滋賀の田中は隠れ逸材。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/03/16 17:00
智弁学園、太田英毅は2016年の優勝チームでも主力だった。彼のスイングは、一目でそのパンチ力が伝わる。
滋賀学園では、神村と後藤のバッテリーが健在。
昨春センバツ8強の滋賀学園では、投手・神村月光(3年・170cm70kg・右投左打)と捕手・後藤克基(3年・171cm78kg・右投右打)の強力バッテリーが今季も躍進の立役者となるのか。
後藤は、昨春のセンバツ3試合で13打数6安打。バットヘッドが直進する時間の長いスイングで、なかなか落ちてこないライナーが外野手の頭上を何本も襲い、捕手としての二塁へのスローイングは、ベースカバーの内野手が捕球しなければそのままセンターの定位置まで伸びていきそうな猛烈な勢い。1年生の終わりの時期に、「すごいな、コイツ……」と感心したものだった。
それが、昨秋は「ちょっと元気ないかな」と思ったのは、私の気のせいだったのか。
引っぱった長打を欲しがっているような、“欲望”が前に出たスイング。ベースに入った遊撃手のグラブを激しく叩くはずのスローイングも、その回転にいつもの元気がないのでは……。
試合もだけど、シートノックが見所?
そんな思いで見ていたシートノックのボール回しで、彼の後ろで投げていた“背番号12”のスローイングがすごかった。
捕手・田中健太(179cm77kg・右投右打)。後藤より1年下の2年生だ。
体の均整はこっちのほうが目をひいた。長身タイプなのに、ヒザと足首が柔軟で股関節の体重移動も効いたスムースな捕球、送球。
二塁に糸を引くようなスローイングができていたのは、背番号12のほうだった。
そうはいっても、滋賀学園の“背番号2”は絶対的な存在だろう。12番が試合でマスクをかぶることはないだろうから、見るなら試合前のシートノック。
順調にいけば、大会3日目第2試合。
今年はダグアウトから勉強の時間かもしれないが、来年は間違いなくドラフト候補に挙がってくる素材と見る。
観戦にいらっしゃる向きには、試合前のシートノックから注目だ。