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川口能活が語る韓流GKブーム。
「日本人との差は跳躍力と……」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/02/17 08:00
試合前には柔和な表情を見せるチョン・ソンリョン。憧れの選手はオランダ代表の守護神として君臨したファンデルサールだという。
外国人GK登録禁止のレギュレーションを設けた。
1990年代、Kリーグではソ連(タジキスタン)出身のGKヴァレリー・サリチェフが大活躍したことで、多くのクラブがロシア人選手に正GKの座を託すようになった。結果、韓国人GKのレベルが低下。この状況に危機感を抱いたリーグ側は、1999年から外国人GKの選手登録を禁止するレギュレーションに変更した。この環境下で育った韓国人GKが現在、Jリーグに大量流入しているというわけだ。
このまま韓流GKが増え続ければ、日本がかつての韓国と同じ状況になる可能性もある。だから、川口はこう訴える。
「韓国では中学生の年代から各チームにGKコーチがいて、専門のトレーニングを受けている選手が多いと聞きます。日本もサッカー界全体のプロジェクトとして、GKを育てる環境をつくる必要があると思うんです」
“自由競争と保護主義”、日本はどっちを選択する?
かつて、アーセナル(イングランド)のアーセン・ベンゲル監督は、こう語った。
「歴史的にも、素晴らしいGKを擁することなく何かを勝ち取ったチームは存在しない。私はこの仕事をして30年になるが、GKはサッカーで最も過小評価されたポジションでありながら、勝つために最も重要なポジションの1つだと学んできた」
チームを勝たせるために、国籍を問わず優れた外国人GKを補強する。これは弱肉強食のサッカー界では、自然な流れだ。ただし、未来の日本代表のゴールマウスのことを考えれば、不安要素でもある。
このまま“自由競争”の下、ギラギラ感とフィジカルを備える日本人GKの出現を待つべきか。Kリーグと同じく外国人GKの獲得を禁じる“保護主義”への転換によって、日本人GKにプレー機会を与えるべきか。
近い将来、日本サッカー界の“GK政策”が問われることになる。