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イマドキの明るい女子プロレスが話題!
紫雷イオ×美闘陽子と“赤いベルト”。
posted2016/10/26 11:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
10月30日に後楽園ホールで女子プロレス「スターダム」の“赤いベルト”をかけた戦いが行われる。
ワールド・オブ・スターダム選手権試合。
チャンピオンは26歳の紫雷イオで、挑戦者は今年4年ぶりに復帰を果たした29歳の美闘陽子。
女子プロレスのファンにとっては失われたカードの復活とあって注目の一戦だ。
1カ月前、久しぶりにスターダムの後楽園ホールに行ってみた。最近、女子プロレスの団体としての試合に行くのはまれだ。'90年代の女子プロレス全盛期には、毎週のようにどこかの会場には行っていた時期もあったのに。今、スターダムのヒロインは紫雷イオ。この日も、安定感のある動きを見せて、赤いベルトを守り6度目の防衛に成功した。
きれいにワザを繰り出して、ドロップキックもいい呼吸で放つ。
フィニッシュは「天空の逸女」のニックネームにふさわしいムーンサルトプレス。
「(自分の防衛記録)V10を更新します。このまま、走り続けます」と彼女は“赤いベルト”を手に、自信の笑みを見せた。
日本の女子プロレスの頂点を意味する“赤いベルト”。
その“赤いベルト”は、時が流れて、団体が変わり、タイトルの名称も変わって、形もデザインも変わってきたベルトである。しかし、日本の女子プロレス界では、今も頂点のベルトであるというステイタスにこだわって、大事に引き継がれているとも言える。
「WWWA世界シングル王座」の赤いベルトが知られるようになったのは全日本女子プロレス(全女)時代、1970年に京愛子がタイトルを獲得してからだ。
それからこのベルトはマッハ文珠、マキ上田、ジャッキー佐藤、ジャガー横田、長与千種、ライオネス飛鳥、豊田真奈美らが巻いて、日本の女子プロレスの象徴となった。日本では、歴代35人の女王を生んだが、全女の崩壊、解散により2006年に高橋奈苗が返上して、その長い歴史に終止符を打っていた。
今の「ワールド・オブ・スターダム王座」の“赤いベルト”は、スターダムが当時のWWWA世界シングル王座をイメージして、オリジナルタイトルとして2011年にスタートしたものなのだ。