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「どうしてこんなことになったのか…」中央大、不可解な失速で“まさかのシード落ち”…箱根駅伝まで2カ月、藤原監督が語る誤算「12位、大惨敗です」
posted2024/11/07 17:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
不可解。
全日本大学駅伝における中央大学の失速は、不可解としか言いようがなかった。
箱根駅伝予選会を6位で通過し、現場で藤原正和監督に話を聞いた時には、
「全日本では去年、4位だったこともあるので、今年はそのうえを狙っていきたいと思います。吉居駿恭(3年)はじめ、何人かは予選会を温存という形になったので、しっかりと勝負に行きたいと思います」
と表彰台を狙っていくことを明言していた。
しかし、現実は厳しかった。全日本では3区終了時点では6位に進出したが、その後はズルズルと順位を下げ、12位でフィニッシュした。私自身もシード権を逃すことはないだろうと思っていたから、衝撃を受けた。
藤原監督「どうしてこんなことに…」
応援の人たちでごった返すフィニッシュ地点、ようやく藤原監督の姿を見つけた。監督も当惑の表情を浮かべていた。
「不可解というか、どうしてこんなことになってしまったのか、原因を探らなければいけないです。彼らにこんな思いをさせるために、伊勢まで来たわけではないので――」
それでも序盤は流れに乗った。1区は故障明けの溜池一太(3年)。今年、10000mで中大記録を更新するなど、学生界でもトップの実力を持つ。ただし、9月中旬にケガがあり、なんとか全日本に間に合った状態だった。
1区の選手たちが牽制しあい、スローペースになったのは、溜池の存在が大きかったと思う。他の選手たちは、実力者の動向を観察しなければならないからだ。しかし、故障明けの溜池からすれば、スローペースになったのは願ったり叶ったりだったかもしれない。溜池は区間20位ながら、先頭とは13秒差でタスキをつないだ。
そして2区の岡田開成(1年)は、期待のルーキー。区間6位でまとめたが、12人抜きの快走。序盤に突っ込んで入っており、展開次第ではより区間順位を上げられた可能性もある。ただし、その思い切りの良さが頼もしいのもまた事実。そして3区の本間颯(2年)も無難につなぎ、この時点では6位まで順位を上げていた。
まさかだった“エースの失速”
しかし、4区から誤算が重なっていく。4区の浦田優斗(4年)、5区の東海林宏一(4年)の調子が上がらず、この2区間で8位まで番手を下げてしまう。藤原監督は4区、5区で流れが途切れてしまったことを悔やむ。