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イマドキの明るい女子プロレスが話題!
紫雷イオ×美闘陽子と“赤いベルト”。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/10/26 11:00
“赤いベルト”6度目の防衛を果たした紫雷。昨年ワンダー・オブ・スターダム王座を獲得した時には、団体の5大王座を全制覇した紫雷なのだが……。
まだファイトにムラがある――4年ぶり復帰の美闘。
この6月に4年というブランクを経てスターダムにカムバックした美闘は長身で空手のキックが武器だ。だが、4年の空白はあまりにも長く、まだその動きはインパクトに欠ける部分もある。
しかし、期待されての復帰だというのはよくわかる。
美闘は8月から9月にかけて開催されていたリーグ戦「5☆STAR GP 2016」で優勝したが、決勝での戦いには物足りないものがあった。だが優勝の結果として、10月30日の後楽園ホールで紫雷の“赤いベルト”に挑戦できることになったわけだ。
先日の試合を見た限りでは、まだファイトにムラがある。紫雷に勝つのは難しいのではないか――勝てない挑戦なら無意味だと思われるだろうが、挑戦することで気持ちが高揚するきっかけをつかもうとしているのかもしれない。
何か、腑に落ちない感情が……。
様々な経緯があって、美闘が紫雷の“赤いベルト”に挑戦することとなった。
これは紫雷が望んでいたことでもあるが……私の心のどこかに面白くない部分が残った。
何か引っかかるものもある。わだかまりが何も無いと言ったら、うそになる。
美闘はケガを理由に消えるように引退して、4年間もリングから遠ざかっていた。それが、突然戻って来て、わずか数カ月でリーグ戦の優勝をさらった。ブロックが異なったため、紫雷との対戦は実現しなかった。
紫雷は、もし決勝で当たったら美闘をギャフンと言わせてやろうと思っていたのだという。それなのに、リーグ戦で星を落として決勝戦に進出できなかったことになっている。
今さら美闘にタイトルにかける「覚悟」などを語られても、そんなものは美闘がいない期間スターダムを背負い、その何倍も「覚悟」を決めてやってきた紫雷と比較にもならないだろう。
遺恨はないが、やっぱり「面白くない」というのが正直なところだろう。小川代表はこの対戦のトーンを変えて、もっと紫雷を熱くさせたいだけなのだろうか?