2016年の高橋由伸BACK NUMBER
カープの躍進を見て由伸巨人に思う。
“観客を楽しませる”意識はあるか?
posted2016/09/18 08:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Hideki Sugiyama
8月末、ナゴヤドームで「中日ドラゴンズvs.広島カープ」の試合を観た。試合は延長戦で爆発したカープの勝ち。
びっくりしてしまった。「野球ってこんなに見せ場があるのか」と。
とにかくまぁ、カープ打線の元気なこと! 飛んでいく打球まで覇気がある。巨人の試合と見比べてしまうのはよくないことだとわかっているのだけど、広島の試合は魔法にかけられたように面白かった。うっとり。
私は打線に惚れ惚れしていたのですが、一緒に観戦した横浜ファンは「あー、広島の内野陣は何であんなに守備がうまいのか」と守備にうっとりしていた。お互い、隣の芝生は青く見えすぎた。
誰が観てもきっちりと魅了される今年の広島カープ。ありていに言えば、チケット代の損をさせない。勝利や優勝という結果を言っているのではない。「試合中」に元をとれるからエライと思った。観てて楽しいんだもの。
私の後ろの席にはカープ女子がいた。東京から名古屋に駆けつけたという。鈴木誠也のファンなのだろう、試合中ずっと「セイヤ、セイヤ!」とまさにお祭りのようだった。そのカープ女子は、25年前の優勝時はおそらく30代だったと思われる。今年まで長かっただろう。でもあの様子だと「途中」もじゅうぶん楽しんだ25年だったかも。おばちゃん、優勝おめでとう。
前回の執筆時点では猛追していた巨人だが……。
では高橋由伸の話をしよう。2016年の高橋由伸。
先月このコラムを書いた時期は巨人が広島に猛迫していたとき。「最大11あった首位・広島とのゲーム差はわずか2週間で半減した。8月14日終了時点では6.5ゲーム差」という頃だった。
そして、《あと1カ月後、2カ月後、高橋由伸はどんなドキュメントを見せてくれるのか、まったく予想がつかない。一気の上昇か、はたまた息切れか。このルーキー監督の今の状況は「ある程度の読み」すら誰もできない。すごい、だから面白い。》と書いた。