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岡崎慎司、何度目かの「得点宣言」。
便利屋とエゴイストを往復する理由。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2016/03/05 10:40

岡崎慎司、何度目かの「得点宣言」。便利屋とエゴイストを往復する理由。<Number Web> photograph by AFLO

得点の機会に顔を出す能力はやはり特筆すべきものがある。バーディーの速攻ではない、岡崎の攻撃の形を作りたい。

チームメイトに一歩もひるまず言い返す姿も。

 1月10日FAカップでゴールを決めると、13日トッテナム戦以降は先発起用が続いている。16日の試合では今季4ゴール目も決めた。

 1月23日のストーク戦。負傷した岡崎は、ドクターに「まだやれる」と訴えた。しかし、監督は交代を命じる。ピッチをあとにする際、マフレズが岡崎に声をかけた。手振りを交えて何かを訴えている。驚いたことに、岡崎も一歩もひるむ様子を見せることなく、強い調子で言い返していた。マフレズが出したパスが弱く岡崎が合わせられなかったシーンがあった。

「マフレズが“なんでもっと俺の近くに来なかったんだ!”という感じで言ってきたから、“俺はもっと強く出してもらわないとダメなんだ”ということを言ったんです。そこで引いたら負けだから」

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 岡崎はそう説明してくれた。「チームメイトの要求を黙って、笑顔で受け入れることに徹している」と話してから数週間しか経っていなかったが、彼はやり方を変えたのだ。

 ゴールを決めるには、シュートを打たなければならない。ただでさえバーディー仕様となっている攻撃のなかで、いかに自分に有利なチャンスを作るのか? そのためには強い口調で訴えなければならなかったのだろう。

ストライカーは周りに気を使わせる存在であるべき?

 シュートを外せば、大げさに悔しがるようにもなった。これもわざと大げさに“見せている”と岡崎は話す。

「そうすると周りが、もっと落ち着けという風になる。今まではそういう風な振る舞いは自分らしくないなと思っていたけれど、ストライカーは周りが気を使うくらい特別な存在であるべき」

 守備でもパスの配球役としても手を抜かず、チームのために走り回る献身的な日本式のストライカー像ではなく、国際的に一般的なストライカー像を岡崎は目指していた。もちろん守備もやるが、それは特別なことではなく、ある種のルーティンワークとなっていた。

【次ページ】 ウェストブロムウィッチ戦で際立った“巧さ”。

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