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スズキが躍進、ホンダはまだ学習中。
横一線のMotoGPで抜け出すのはどこ?
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2016/02/29 10:30
2回目のテストで躍進を果たしたビニャーレス。スズキが勝ち負けに加われば、MotoGPはますます面白くなる。
テスト内容をあっさり明かした好調のビニャーレス。
エンジンパワーが向上し、そのパワーをシームレス・ミッションが最大限発揮する。現状は加速時だけ機能しているが、ホンダやヤマハ同様、減速時にも機能するようにテストが進められている。そのテストを担当していたのがテストライダーの津田拓也で、3日間のテストを終えてこう語っていた
「なんのテストをしているかは言えないが、いまやってることが実戦に投入できればワンステップ、ツーステップ出来ると思う。それくらいいいですね」
面白いのは、津田がせっかく秘密にしていることをビニャーレスがあっさりと告白してしまったことだ。
「津田がテストしているフル稼働のシームレスが我々に投入されるまで、そんなに時間はかからないと思う。今年はトップ6に入るのが目標だよ」
スズキにとって2年目の目標は、チャンピオンチームのヤマハ、そしてホンダとドゥカティの3強ワークスに割って入ること。そのためにも、ビニャーレスの成長に大きな注目が集まっている。
タイトル奪還へ虎視眈々のマルケス。
もうひとり大きな注目を集めたのが、2年ぶりのタイトル奪還を目指すマルケス(ホンダ)の躍進だった。マレーシア・テストでは、共通ソフトウエアに苦戦して総合5番手。タイムも昨年比で約2秒落ちだったが、8年ぶりに公式テストが復活したフィリップアイランドでは、昨年との比較で約1秒落ちまで回復。総合で2番手、3日目最終日には今季初のトップタイムをマークした。
タイム向上の要因について、横山健男テクニカル・ディレクターはこう語ってくれた。
「前回のマレーシアテストの後いろいろやってきましたが、基本的にはマレーシアと同じ状態でテストを開始した。初日のウエットコンディションでは、良くなっていることを確認することが出来た。2日目、3日目はドライコンディションでいろいろなことにトライして、ここでもいいデータが取れた。今年はエンジン仕様を変えている。それに共通ソフトウエアが採用され、ブリヂストンからミシュランにタイヤが代わった。その合わせ込みに時間がかかっているが、やっと狙っている方向に向かっている」