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“ドーピング時代”の世界記録たち。
陸上界が問われる、過去との決別。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2016/01/24 10:30

“ドーピング時代”の世界記録たち。陸上界が問われる、過去との決別。<Number Web> photograph by AFLO

国際陸連のセバスチャン・コー会長は、リオ五輪出場競技へのロシアの出場停止もありうるという姿勢を見せている。

一度歴史を断ち切るという選択肢もある。

 それらの記録に対して、疑念を持っている陸上関係者が少なくはないことも事実だ。でも残っている以上、まっとうな努力では抜きようがなくても、世界記録であり世界ランキング上位の記録だ。だから、'80年代に生まれた記録に触れるとき、どこか歯切れが悪くなったり、「あれは別物だから」といった言いようがされたりする。本来、偉大であるはずの記録は、腫れ物のようだ。

 そのとき、陸上の歴史が断絶している思いに駆られることがある。ひとつながりではないように感じることがある。

 そのまま尊重できない記録であれば、あえて、歴史を断ち切ることを考えてもいいのかもしれない。

 どこかの年代で一線を引き、それ以降のランキングを作る。トップを世界記録とする。これからの選手はその記録を目標に置く。

 もちろん'80年代に、すべての選手がドーピングをしていたわけではない。いや、していない選手が大半だっただろう。クリーンに取り組んでいた選手は不本意かもしれない。だから線を引くことには痛みを伴う。

 だが、ここまで信頼を失った今こそ、'80年代の驚異的な記録をどう捉えるのか、はっきりさせるべきときではないか。根本的な改革のためには必要であるように思える。

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