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川藤幸三が語った“タイガースの血”。
「ときにはアホ丸出しで結構」
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![鷲田康](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySports Graphic Number
posted2015/10/15 10:50
![川藤幸三が語った“タイガースの血”。「ときにはアホ丸出しで結構」<Number Web> photograph by Sports Graphic Number](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/d/a/700/img_da6f0e3b6191327ce747f28c8c861dc9169249.jpg)
チーム内のまとめ役として'85年の優勝に貢献した川藤幸三。現在は阪神OB会長も務める。
「アホやって言っとるやないか!」
――アホですね!
「アホやって言っとるやないか! だからワシは真弓にも八木にも桧山にも、代々、後を継いだ人間に必ず、お前ら何でもかんでも『オイ、行け!』言われたら『ハイ』と行くな、と言うとるんです。そうするとみんな『カワさんだけですよ、そんなんできるの』と言うから『ナニ言うとんねん。お前らの数字見てみい。ワシの数字よりお前らのほうがどれだけ上やねん。ただ、腹の決め方や。そのかわり失敗したときは、何でも来んかいというぐらいの腹は作っとけよ。それができんかったら、否が応でも従うしかなくなるぞ』と話すんです。ときにはアホ丸出しで結構。タイガースというのはそういうところなんです。そういう男が生き抜いてきたところなんです。ワシは先輩の姿とか、先輩の話とか、トータル的に自分がそういう立場になったらどうあるべきなのかとか、経験をしてきたし、それを伝えていかないかんと思っているんです」
――何が阪神なのか、何が伝統なのか、何が野球選手なのか、何が代打なのか、ということですね。
裏の人まで含めてタイガースの血。
「ただ、それも周りの人のお陰なんです。これは野球関係者だけの話じゃなくて、阪神園芸のトンボのおっちゃんだったりね。嫌っちゅうくらいに野球に役に立つ先輩たちの姿を見てきているんですよ。『カワ、ワシらはトンボのおっちゃんやけど、このトンボのおっちゃんを舐めたらあかんぞ。わしらがどんだけの目を持っとるか知っとるか』と言われるんです。練習ひとつでも『三宅(秀史)はこうやった、藤田平はこうやった、小山(正明)はこうやった』と全部見ている。あげくにジャイアンツの王さん(王貞治福岡ソフトバンクホークス会長)の話まで全部してくれる。そういう一線とは違う、裏側を作ってもらっている人たちからそういう考えとか、目線とか、色んな角度から教わりましたね。その一つひとつが阪神の伝統や、そういう裏の人たちも含めて、それがタイガースの血や、っちゅうことなんです」
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吉田義男はこう振り返る。
「あの年はとにかく打った、打ったという話になりますが、どんな状況でも個々の選手が自分の仕事をきちっとこなしてくれた。それがあの年の阪神の強さでした」
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