ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
米ツアーで「前王者」が受ける歓待。
松山英樹のロッカー、旗、お寿司!?
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2015/06/15 10:50
米ツアーにおいて、前年王者というのは想像を超えるリスペクトと歓迎を受ける。この重圧と歓待に浮き立たずにプレーしなければ、連覇の偉業は成し遂げられない。
日本人王者のためにビュッフェにお寿司を用意。
ウィナーズ・サークル(Winner's Circle)という言葉がある。
いわゆるトーナメントの優勝者たちを指すフレーズで、久々に勝った選手に対し「やっとウィナーズ・サークルに戻ってきた」といった具合に使われる。松山はその輪を作る選手で、今大会では改めてそのフレーズが持つ意味を感じられた。
一方で未勝利の選手、長く優勝から遠ざかっている選手には、耳が痛い言葉。石川遼もそんな思いを抱えるひとりである。
今年、4年連続のメモリアルトーナメント出場で気づいたことがあった。選手ラウンジ内のブッフェ形式の食事を眺めた時だ。「お寿司があったんですよ。初めて見た。英樹が、日本人が勝ったからなんですよね。そういう心遣いがここにはある」
チャンピオンロッカーの扉は、敗者にとってこそ重い。
日本も含め多くのトーナメントでは、クラブハウスから一番近いところに優勝者の駐車場を用意する。米ツアー中にはその選手の帯同キャディに対しても、駐車スペースや大会中のミールチケットを用意したりする試合がある。歴代王者たちに敬意を込めたギフト。ミュアフィールドビレッジのチャンピオンズ・ロッカーもそのひとつだ。
松山は今年、荷物は移動用の車などに収め、結局そのロッカーを使うことはなかった。だが、その部屋へと続く扉の重厚さを感じるのは、むしろウィナーズ・サークルの外にいる敗者たちである。
メディアの取材スペースの壁には、ニクラウスやウッズ、グレッグ・ノーマン、そして松山らチャンピオンの写真が並び、その先に公式会見の部屋があった。日々、インタビューを受ける選手たちの闘争心を煽る空間としては絶好だ。
敗者のハートを刺激する勝者へのリスペクト。それはトーナメントの明日を支える原動力のひとつかもしれない。
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