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松岡修造が9年前に目撃した、
16歳の錦織圭とナダルの死闘。
posted2015/05/26 10:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Tomoki Momozono
初夏のパリを彩る大会の見どころは多い。
世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が全仏初優勝を飾るのか。
クレーコートの王者ラファエル・ナダル(スペイン)が、ジョコビッチの野望を阻止し、大会6連覇を果たすのか。
それとも、トーナメント1回戦を勝ち、頂点への階段を駆け上がる錦織圭が、グランドスラム初タイトルを掴むのか。
Number誌上でコラム「熱血修造一直線」を連載する松岡修造氏は、現在発売中のNumber878号で、錦織圭選手の「クレーコートの常識を変える」戦い方を詳細に分析している。松岡氏は今年1月の全豪オープンを現地取材。緊急寄稿したコラム(Number871号)で、ナダルとジョコビッチのこんなコメントを紹介している。
「Keiのランキングは5位だが、間違いなく世界一だと言っていいテニスだ。彼の時代はこれからだ。圭は自制心と自信をもってテニスをしている。これこそがトップ選手に最も必要な事なんだ」(ジョコビッチ)
「Keiは試合に勝ちながらメンタル的にタフになっている時だ。体力的にも強くなってきている。トップ中のトップ選手だ。あとはグランドスラムで勝ちきるメンタルだね」(ナダル)
だが、全豪で錦織はベスト8でワウリンカにストレート負けを喫してしまう。この直後、松岡氏はジョコビッチのこんな言葉を思い出したという。
「優勝が近いと言われてから、何度も何度も壁にぶち当たった。自分を信じられず、無理かもしれないと思った日々。ただ最後は信じ続けるしかなかった。そしてその壁を破った後、大きな自信を持つことができた」
ジョコビッチの言葉は、松岡氏の持論とも一致する。発行85万部の大ヒットを記録している日めくりカレンダー「まいにち、修造!」での人気メッセージは、松岡氏が二十歳のころに、思い浮かべたというこの言葉だ。
「次に叩く一回で、その壁は破れるかもしれない」
世界ナンバー1プレイヤーのジョコビッチでさえ、グランドスラム制覇の前には大きな壁を感じたというのだ。錦織圭にも壁があって当然。叩き続ければ、壁は破れる。