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松岡修造が9年前に目撃した、
16歳の錦織圭とナダルの死闘。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTomoki Momozono
posted2015/05/26 10:30
全仏オープン、錦織圭は完全アウェーの雰囲気の中、ポールアンリ・マチューをストレートで破って初戦を突破した。
16歳の錦織とナダルの知られざる闘い。
今季、クレーコートのバルセロナ・オープンを連覇し、ローランギャロスに乗り込む錦織圭。松岡氏は錦織のクレーコートでの戦い方を「常識を変える」と評価するが、そのターニングポイントになったのが、錦織が16歳のときの全仏での一コマだという。
錦織は2006年の全仏オープン、ジュニアダブルスで優勝を果たした。大会も終盤になり、錦織はシングルスで決勝に進んだナダルの前日練習の相手を務めることになった。松岡氏は現地でその様子を見つめていた。
〈キングオブクレーとされるナダルの練習相手を務めることは、圭にとって、これ以上ないチャンスだ。ただもしも僕が圭の立場でナダルとコートに立っていたなら、かえって自信を無くしてしまう結果になっていただろう。目の前で見た光景は、それくらい凄まじかった〉(Number878号松岡修造「熱血修造一直線特別編」より)
試合の時よりもハードヒットされるナダルのボールに、16歳の錦織が圧倒される。
決勝当日、ナダルと向き合った錦織は……。
ナダルは決勝当日も、練習相手に錦織を指名した。しかし、このときナダルとセンターコートで向き合った錦織は、松岡氏の目前で、とんでもないことをしでかしたというのだ。
〈圭が何かを掴んだ瞬間だった。練習後ナダルが、『何時かここで戦うことになるな!』、そんな雰囲気で圭と握手をしていた〉(同前)
あれから約10年のときを経て迎える全仏、松岡氏は錦織圭にこんな言葉をかける。
〈どんな相手であれ、ローランギャロスで圭自身のテニスができたとき、小さい頃からの夢を叶えることができる!〉(同前)