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公認代理人廃止は選手にもメリット!?
在仏日本人仲介業者から届いた反論。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKeiichi Itakura
posted2015/03/28 10:30
1984年和歌山県生まれ。立正大淞南高校時代に全国高校サッカー選手権に出場。高校卒業後、各国でプレー。カメルーン1部のキャノン・ヤウンデでは日本人では初めてアフリカチャンピオンズリーグに出場した。
フランス系とポーランド系の2つのパイプ。
直川には、主に2つのネットワークがある。
まず1つ目は「カメルーン経由フランス系」ネットワークだ。キャノン・ヤウンデ時代、カメルーン代表選手たちと知り合いになり、リゴベール・ソングやエトーの弟ダビドたちと交流するようになった。
ソングは複数の代理人に「3日以内にオファーを持ってこい」と要求し、その中から移籍先を選んでいた。サミュエル・エトー本人もバルセロナにカメルーン人選手を紹介していた。そういう姿を見聞きしながら、仲介ビジネスのノウハウを身につけ、彼らのネットワークを使わせてもらえるようになった。
2つ目は「イタリア経由ポーランド系」のパイプだ。
直川は高校卒業後にイタリアのブレシアへ短期留学し、そこで知り合った代理人の紹介でのちにポーランド1部に行くことができた。
日本にポーランドのクラブにパイプがある人間は少なく、日本の代理人からしばしば問い合わせを受けるようになった。また、ブレシア時代の縁から、2年前にイタリア5部のリカータ・カルチョというセミプロクラブの会長を務めた。会長の立場から移籍市場を見られたのは大きな経験だった。
まだ仲介人として大きな成果を残したわけではないが、「代理人界の欧州組」になるチャンスを手にしたことは間違いない。
前記事を見て、直接筆者に連絡が。
実は今回、パリに住む直川に取材が実現したのは、本連載の前記事「4月からFIFAの公認代理人が廃止に。選手の移籍に『自己責任時代』到来?」がきっかけだった。
4月1日から、FIFAの公認代理人制度がなくなることが決まっている。前記事では、それによって何が起こるかを公認代理人のコメントを引用して予測。「選手の自己責任が重くなる」と結論づけた。
直川も基本的に同じ意見だが、これまでヨーロッパで仲介業をやってきた者として思うところがあり、筆者に直接連絡が来たのだった。