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公認代理人廃止は選手にもメリット!?
在仏日本人仲介業者から届いた反論。
posted2015/03/28 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Keiichi Itakura
「自分が選手だったときのチームメイトが監督やスポーツディレクターになり始めて、気がついたら欧州にネットワークができていたんです」
直川公俊(移籍仲介人)
ヨーロッパでプレーする日本人選手、いわゆる「欧州組」には大まかに2つのタイプがある。
1つは日本代表に選ばれ、ヨーロッパのトップリーグで活躍する選手たち。本田圭佑、香川真司、長谷部誠が代表例だ。
そしてもう1つは日本ではほぼ無名で、テストを繰り返してマイナーリーグを渡り歩く選手たち。収入が乏しく、ビザの取得に苦しみ、よほどの覚悟がなければ思い出作りで終わってしまう。
直川公俊(のうがわ・きみとし)は、まさに後者のタイプだった。
高校卒業後にイタリア、ブラジル、ポーランド、ルーマニア、フランスを渡り歩き、流れ着いたのはカメルーン1部の名門キャノン・ヤウンデ。ときには1日以上バスに乗ってアウェーに移動し、過酷な環境でプレーを続けた。
その後は、ドイツやイタリアでクラブを探し、最後はポーランド2部で現役生活を終えた。約6年間に渡る“フットボール難民”生活だった。
引退後、無資格で始めた代理人業。
だが、各国を放浪したキャリアは、決して無駄ではなかった。引退後、直川はある職業を始めることを思い立った。
それは代理人――。
FIFAの公認エージェントの資格は持っていなかったが、選手時代のつながりを生かして、移籍仲介業をスタートさせたのだ。
直川は言う。
「自分が選手だったときのチームメイトたちが、クラブの監督になったり、スポーツディレクターになったりし始めた。一緒にプレーしていたので信頼関係がある。気がついたら、ものすごく広いネットワークができていたんです」