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<再び世界の頂点を目指して> “未来のサッカー日本代表”を強くするために、今やるべきことを考える。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/03/19 11:00

<再び世界の頂点を目指して> “未来のサッカー日本代表”を強くするために、今やるべきことを考える。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

もっと日本人指導者にチャンスを!

 どのように彼らの質を上げていくか。私の考えでは、指導者にも経験のチャンスを積極的に与えるということに尽きる。

 A代表はアルベルト・ザッケローニ監督、ハビエル・アギーレ監督と外国人監督が続いてきたが、将来を担う若い日本人指導者がコーチに入らなかったのは残念でならなかった。監督がどのように選手と接しているのか、体感するにはまたとない場となるからだ。

 私が指導者になって間もない頃、日本代表を率いたハンス・オフト監督から学んだことは多かった。「ドーハの悲劇」で知られるアメリカW杯最終予選で日本は2戦終わって1分け1敗。宿舎に戻って食事の席でも重い空気が支配していた。するとオフトが前に立って、「3WIN」と書いた。つまりあと3勝すればいいだけだろ、と。再びチームに活気が戻っていく様子を見て、鳥肌が立ったものだ。

'94年アジアユースで活かした、オフト監督からの教訓。

 私はこのときの経験を'94年のアジアユースで活かした。初戦でタイに敗れ、いきなり崖っぷちに立たされた。ユース代表のコーチだった私はミーティングを任されていて、泣き出す選手もいるなかで「次は決勝トーナメント1回戦」と書いた。高校サッカーと一緒で、後は全部勝てばいいだけじゃないか、と。そうしたら選手たちの表情がガラッと変わって、そのまま'95年のワールドユース出場まで持っていけた。オフトの接し方を見ていたからこそ「こうやろう」と自信を持って行動に移すことができた。

 世界で勝つためには“トップトップ”の指導者をつくっていかなければならない。若くて優秀と見込んだ指導者をA代表のコーチに複数入れてみて、これだと思った人材に下のカテゴリーを率いるチャンスを与えてみてもいいだろう。日本サッカー協会が費用を工面して、海外のクラブにコーチ留学させてもいい。今こそ“トップトップ”の指導者養成に力を入れなければ日本サッカーに未来はない。

 地道に指導者を育て上げ、下のカテゴリーから成功体験を積み上げていく。

 育成に近道など、ないのだから。

【次ページ】 森島寛晃が語る、育成の大切な原点。

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