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<再び世界の頂点を目指して> “未来のサッカー日本代表”を強くするために、今やるべきことを考える。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/03/19 11:00
土田晃之
「小さいときから“天才”とか周りが騒がないほうがいい」
サッカーファンの立場で言わせてもらえば、一番の育成は日本代表が強くなることだと思うんです。
2010年の南アフリカW杯のとき、ウチの娘はまだ小学一年生でした。同じ通学路で一緒に帰ってきた男の子が僕の部屋にあるレプリカのW杯トロフィーを見て「わっ、W杯じゃん! えっスペイン人なの?」って驚いたんです。でも逆に僕のほうが驚いて、どうしてこんな小さい子が、スペインが優勝したことを知っているんだと。おそらく日本代表が活躍するのを見て、サッカー自体に興味を持ったんでしょうね。
そうやってサッカーを始める子が増えていけばいいと思うんです。選手としては才能がないかなと思ったら、サッカーの名監督になりたいって子が現れたっていい。その入り口に立つには、やっぱり日本代表が強くなくちゃいけないかなって。子供たちに興味を持ってもらわないと、話は始まりませんからね。
僕には四人の子供たちがいて、春に中学生になる次男はサッカーを続けてやっています。小学生のときに練習を見に行ったら、1年生から6年生まで一緒に試合形式の練習をやっていました。南米でよくあるようなスタイルですけど、僕は凄くいいと思った。体の大きいお兄ちゃんを相手にどうやって抜くかを考えて、努力する子供たちが上手になっていくシステムですから。小学生のころは楽しくないと絶対にダメだと思いますよ。
もう一つ、日本の育成環境でよく思うのは、小さいときから「天才」とか周りが騒がないほうがいいということ。大人の勝手な解釈でモノを言っているだけで、あのリオネル・メッシだってあれだけ上で活躍したから、小さいころの話がフィーチャーされただけですし。
僕らが子供のころはプロがなかったから、才能があって上を目指したくても途中で辞める人が少なくなかった。でも、今は努力してうまくなっていけばいくらでも上を目指せる環境にある。そう考えるとうらやましい限りです。