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出雲駅伝はいかにして中止されたか。
学連と出雲市の思惑のズレが原因?
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byNanae Suzuki
posted2014/11/08 10:55
11月2日に開催された全日本大学駅伝は駒澤大学が優勝。単独最多となる12度目、史上3校目となる4連覇を達成した。
リスクマネジメントをマニュアル化する時代に。
世間からの注目も大きく、膨大な労力と予算がかけられた大会を中止するのは勇気のいる判断だ。ましてや、学生駅伝においては戦争以外にこれまで中止を経験したことはない。(太平洋戦争中、箱根駅伝は5回中止になったことがあるが、雪でもレースを中断することは基本的にない)
従って、大会中止判断のマニュアルは作っていなかったと思われる。
今回の事態を踏まえ、台風だけでなく地震や津波、火山噴火対策も含めて、リスクマネジメントを大会マニュアルに盛り込まなければならない時代になるだろう。
いずれにせよ、今年の三大駅伝は二つとなり、全日本大学駅伝を制した駒澤大学が目指す“三冠”はまぼろしとなった。
しかし、二つレースが残っていた強豪校はまだいい。出雲駅伝だけにしか全国大会で走るチャンスがなかった大学は少なくない。選手としてエントリーしていた学生の落胆ぶりは想像に難くない。これが最初で最後の4年生も何人かエントリーしていたはずだ。
走れなかった選手は、行き場のない気持ちを思い切りどこかのレースにぶつけてみよう。思いもよらぬ記録で優勝、なんてのも悪くないよ。