スポーツ百珍BACK NUMBER
最後の国立を制した富山第一高校。
“寮を作らない”地元選手の育成法。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2014/01/14 12:00
優勝旗を手にはにかむ大塚翔と、それを見つめる大塚一朗監督。地域密着型で成し遂げた優勝は、高校サッカーを変えるのだろうか。
“ビッグクラブ”と“地域密着”の意地がぶつかった。
一方で準優勝校の星稜は、地元のクラブチーム出身の選手と、Jリーグクラブのユースチームに昇格できなかった選手がミックスされている。
過去にも地元・石川出身の豊田陽平(鳥栖)、そしてG大阪ユースに上がれなかった本田圭佑(ACミラン)が所属したことからもわかるように、Jクラブのユースに昇格できなかった県内外の選手にとって幅広い受け皿ともなっている。
そして、富山第一のような地元密着型の高校にとっては、各地から有力な選手を集めている“ビッグクラブ”のような存在である点も見逃せない。
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殊勲のゴールを挙げた村井は、県内出身者中心で高校日本一を成し遂げたことについて正直に答えた。
「地元のメンバーで厳しい練習をしてきて、日本一をつかみ取ったのは嬉しいですね。(富山第一の前監督だった)長峰俊之先生とも『(県外の選手がいる)そういうチームには絶対に負けたくない』と言っていました」
選手をセレクションするJクラブ下部組織との競争だけでなく、近隣地域でも違う高校ごとのスタイル。それによって生み出された富山第一と星稜の意地のぶつかり合いが、改装前最後の国立決戦をさらに熱くしたのは確かだった。