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FA制度の改革策を、大胆提案!
ドラフト補償で、戦力の均衡を図れ。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/11/20 10:30

FA制度の改革策を、大胆提案!ドラフト補償で、戦力の均衡を図れ。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

5球団競合となったくじを、楽天に引き当てられた松井裕樹。新制度が導入されれば、有力な選手ほどドラフトの結果は激変することになるだろう。

新制度を導入すると、ドラフトの行方は大きく変わる。

<ドラフト指名権の譲渡はなく、1位指名は、現行通り12球団均一にする。その代わり、Aランクの選手を前年のFAで失った球団は、ドラフト1位指名の前に、特別指名枠を単独で指名できる。Bランクの選手を失った場合は、1位指名のあと2位指名の間に一人の指名をできる>

 これを基に、過去を振り返ってみると、ドラフトの行方は大きく変化する。

 2010年、ロッテはFAでAランクの小林宏を失っているから、2011年のドラフトでは、特別指名枠を確保。藤岡を一本釣りで指名し、通常の1位指名では、日本ハムと共に菅野智之の指名に参戦、あるいはBIG3の一人・野村祐輔(明治大→広島)を指名できる。

 2011年、DeNA(当時横浜)はAランクで村田、ソフトバンクはAランクで杉内俊哉を失っているから特別指名枠を獲得。DeNAの順位が下位なので優先権があるとして、DeNAは、2012年のドラフトで東浜を獲得。ソフトバンクは藤浪晋太郎を獲得、ということが起きていたかもしれない。

 Bランクの選手だと、'08年に横浜が相川、'10年に西武が細川亨、横浜が内川、日本ハムが森本、'11年は巨人がサブロー、西武が帆足和幸、'12年にオリックスが寺原隼人、阪神が平野恵一を失っている。

資金力の多寡よりも、強化方針が問われるようになる。

 これを翌年の2位にドラフトで指名されている選手で照らしあわせると、'09年のドラフト2位の中には、堂林翔太(中京大中京高→広島)、山本哲哉(三菱重工神戸→ヤクルト)、'11年の2位選手には、菊池涼介(中京学院大→広島)、釜田佳直(金沢高→楽天)、今村信貴(太成学院大→巨人)など、逸材が多数いる。

 もちろん、指名権を得たチームが彼らを評価していたかどうかは別問題だが、FAからの恩恵で、チームには平等に強くなる機会を得られるのだ。

 今年に関しても、西武は涌井・片岡を失えば、大きな損失になるだろう。広島とて、大竹の移籍は痛い。

 しかし、この制度が採用されれば、西武や広島は、来年のドラフトで、今夏甲子園の優勝投手・高橋光成(前橋育英)、大学No.1投手と評判の有原航平(早大)の両獲りに成功する可能性がでてくる。

 そうなれば、球界内での損・得の差は現在ほど表れなくなる。チームの強化を、有望な新人選手獲得に力を入れるのか、FA制度の運用に力を入れるかの方針の違いでしかなくなるのだ。

【次ページ】 すべてのサイクルが上手く回る環境へ。

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