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中田英寿 日本代表への提言
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/06/28 11:20
世界トップレベルとの“差”を見せつけられる結果に終わった。
彼らの闘いぶりは、この男の目にどう映ったのか――好評発売中のNumber831号「徹底検証3戦全敗~諦めるのか、それでも優勝を狙うのか~」に中田英寿氏が特別寄稿した。
今回Number Webでは、その独占手記『日本代表への提言』で中田氏が
どのような主張をしたのかに注目し、その抄録を特別配信することにした。
《チームとして何をしたいのか意図がまったく見えない、残念な試合だった。このブラジルまで彼らは何をしに来たのかという疑問すら頭をよぎるような戦いぶりで、試合を通して、日本というチームがピッチにいなかったように感じてしまうほどだった》
(Number831号「特別寄稿 中田英寿『日本代表への提言』より。以下同)
大会期間中、ブラジルを訪れていた中田英寿氏は、日本が「強豪国相手に点を取るためのチャレンジをすること」に期待しながら、ブラジル、イタリアとの2試合を観戦した。だからこそ、とりわけ0-3と完敗を喫した開幕戦のブラジルとの戦いぶりには失望を隠さない。
大会前、本田圭佑、香川真司などの主力選手は“個”の重要性を強調した。だが、中田氏は個の勝負へのこだわりが、攻撃を単調かつ単発にしてしまったと考えている。
「日本の攻めは、リズムが一定で対応しやすい」
《本田は相手のハードなプレッシャーの中で頑張っていたと思う。香川もドリブル突破の意図は見えたし、1対1で勝つ場面も見られた。彼らの絡みは、そのまま日本の攻撃の厚みとなるのだが、お互いが遠慮しているように見えた。自分を活かし、相手を活かし、そしてチームを活かすために何をすべきか、もう一度2人で確認する必要があると感じた》
一方、イタリア戦ではこの課題をクリアし、《本田と香川の連携は見違えるように良くなっていた》。だが、3ゴールはすべてセットプレー絡みから。
何度も相手陣内に攻め込みながら、流れの中で得点できなかった要因として、“パスの質と連動性”を挙げた。
《日本の攻めは、リズムが一定で対応しやすい。もっと長短のパスを織り交ぜ、テンポに変化をつけられればよかった。また本田-香川の連携に絡む3人目、4人目の選手がいればいいのだが、どうしても2人で攻撃が完結してしまっていた。前田や岡崎がこの3人目としてより絡んでいけるようになればいいだろうし、清武や乾のように裏への飛び出しが得意な選手を試す機会がもっとあってもいいかもしれない》