プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「ぜひ書いてもらいたい」日本シリーズでDeNA東克樹が“確信犯”のソフトバンクファンに2度の抗議「僕たちは1球が勝負の世界でやっているので…」
posted2024/10/30 14:47
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
2連敗からのDeNAの逆襲。
1回に桑原将志外野手の二塁打から、送りバントと内野ゴロの間に3戦目にして初めての先取点を奪ったものの、それも束の間だ。
その裏に先発の東克樹投手が、あっさり同点に追い付かれてしまう。1死一、二塁から山川穂高内野手のおあつらえ向きの併殺コースのゴロを、走者と交錯した森敬斗遊撃手がジャッグル。一、三塁に走者を残してしまった。そこで指名打者の近藤健介外野手に左中間を破られ、同点にされた。
負ければ王手をかけられるDeNAにとっては、嫌な展開でのスタートだったが、その暗雲を払い除けたのが東の力投だった。
「本当に自分らしく、粘りつよい投球ができたんじゃないかと思います」
先発した10月12日の阪神とのクライマックスシリ―ズ(CS)、ファーストステージ初戦で左太もも裏を肉離れ。6戦までもつれ込んだ巨人とのCSファイナルステージの登板は回避し、17日ぶりにぶっつけで臨んだのがこの日の日本シリーズの大舞台だった。
「ランナーを出しましたけど粘り強く、投げることができたし、要所でしっかり抑えることもできたので良かったかなと思います」
2回以降は毎回走者を背負うマウンドだったが、言葉通りに粘り強く、しっかり後続を抑えて得点を許さなかった。
そして5回に桑原のソロ本塁打、無死満塁から筒香嘉智外野手の犠飛で2点を勝ち越すと、今度はソフトバンクファンの過激な“応援”にも毅然としてNOを突きつけた。
3対1とDeNAが2点リードで迎えた6回のソフトバンクの攻撃だった。
東は先頭の山川を右飛に打ち取ったが、続く近藤に中前に弾き返されてしまう。そして6番の今宮健太内野手を2ストライクと追い込んだ直後である。
突然、マウンドの東がバックネット裏のスタンドを指差しながら、球審に何かを訴えた。理由はモーションを起こした瞬間に合わせてバックネット裏のスタンドから鳴り響く指笛への抗議だった。
妨害めいた行為に“確信犯”と思い抗議
実は筆者はこの試合をちょうどネット裏席で観戦していて、東の抗議の直前から鳴り出した指笛を気にしていた1人だった。