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【コンフェデ2013 出場国解説】
“脱・カテナチオ”の完成は近い!?
攻撃的なイタリアが真価を見せる時。
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茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2013/06/08 08:00
![【コンフェデ2013 出場国解説】“脱・カテナチオ”の完成は近い!?攻撃的なイタリアが真価を見せる時。<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/a/e/700/img_ae68ea2aa2b610134b0403e3981db8e2363392.jpg)
中盤の底からイタリアの攻撃をコントロールするピルロ(写真左)と、将来を嘱望される“悪童”FWバロテッリ。
出場全8カ国の解説コラムを毎日公開していきます。
今回は、日本と同じグループAに属し、6月19日に対戦するイタリア。
攻撃的スタイルにますます磨きをかけるアズーリの士気は高い。
3月21日に行われたイタリアvs.ブラジルの親善試合で、サッカーファンにとって見慣れない光景が広がった。
地域 | ヨーロッパ代表 (EURO2012準優勝) |
出場回数 | 2大会連続2回目 |
監督 | チェーザレ・プランデッリ |
FIFAランキング | 8位(5月9日現在) |
アズーリがブラジルに対して、ポゼッションを高めるスタイルで挑んだのだ。
手堅い守備をベースにした一撃必殺のカウンターで活路を見いだすお馴染みの“カテナチオ”からの脱却――。チェーザレ・プランデッリ監督の指揮でスタイル転換に挑戦したイタリア代表は、EURO'12グループリーグ初戦で世界王者スペインを苦しめるなど、準優勝に相応しい戦いぶりを見せたが、コンフェデ杯の前哨戦となるこの一戦でもそのスタイルを貫いたのだ。
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前半20分までにブラジルのゴールに迫る場面を何度も作り、ブラジル守備陣を混乱に陥れる。この好機に得点を奪えずに前半で2失点を喫したものの、鋭いアタックの手はゆるまない。するとCKからのデ・ロッシ(ローマ)の技巧的なアウトサイドシュート、そして“悪童”バロテッリ(ミラン)のスーパーミドルでドローに持ち込んだ。
得点は2人の個人能力で奪ったものだったが、それ以外の多くのチャンスシーンでは、リスクを負って多くの選手が前線へと走り込むアグレッシブな姿勢を見せていた。
EURO'12決勝で苦汁を飲まされたスペインにリベンジを。
今シーズン、ACミランで19得点をマークして大ブレークしたエルシャーラウィ(ミラン)をはじめ、スピーディーな飛び出しを後方から自由自在に操るのが、アンドレア・ピルロ(ユベントス)。中盤やや下がり目のポジションから繰り出すミドルレンジパスは一層冴えわたり、ブラジル戦でも相手守備陣をあざ笑うかのようにタクトを振るった。ピルロ以外にも万能型のデ・ロッシをはじめ、モントリーボ(ミラン)、アクイラーニ(フィオレンティーナ)ら中盤は多士済々で、相手にとっては厄介極まりない。
彼らが躍動する攻撃スタイルを構築したプランデッリ監督は、規律面でも一本芯が通っている。
ブラジル戦でスタメン出場し、セリエAでも今季得点ランキング3位に食い込むなど中心戦力と思われていたローマのオズバルドが、コッパ・イタリア決勝でベンチスタートを不服として自軍指揮官に対してツイッターで暴言を吐いた。その事態を重く見たプランデッリ監督は、31人のコンフェデ杯予備招集メンバーに選んでいたオズバルドの代表追放を即決したのだ。
それでも10代の頃から将来を嘱望されたジョビンコ(ユベントス)ら、アタッカーにも粒がそろう。前回対戦では果たせなかったサッカー王国ブラジルの撃破、そしてEURO'12決勝で0-4と苦汁を飲まされたスペインに対してリベンジを果たすために。
攻撃的なアズーリの真価を発揮する時は、来た。
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