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柿谷曜一朗が“セレッソの8番”に!
Jにおける背番号が持つ、重い意味。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2013/02/03 08:01
「前任者」の清武(右)から8番を受け継いだ柿谷。海外オファーを蹴っての残留決定は、柿谷のさらなる進化の契機となるか。
「曜一朗が化ければ優勝できる」と森島は期待を寄せる。
4歳からこのクラブのユニフォームを着てきた柿谷は、おそらく香川や清武よりもこの背番号8の重みが意識の中に刷り込まれているのだろう。
彼の4歳当時、1994年シーズンは奇しくもヤンマーからセレッソ大阪に生まれ変わった節目の年である。それからずっとヒーローたる森島の姿を見て育ってきたのだから、「8」に対して強い憧れを抱いていても何ら不思議ではない。森島本人から直接打診されて「泣きそうになった」というのも理解できる。
柿谷は、そのポテンシャルを知る者なら誰もが認める“天才”である。もちろん森島も、その才能に太鼓判を押す証人の一人だ。
「曜一朗は間違いなく、日本サッカー界が生んだ天才。あいつが本当に化けてくれれば、セレッソは優勝できる」
おそらく今シーズン、柿谷は香川や清武が肌で覚えた、背番号8の想像以上の重みを知ることになるだろう。しかしそうして受け継がれていくエースとしての責任感が、天才の可能性をさらに広げてくれることは間違いない。
南野が受け継いだ「13」は「8」を背負うための通過点。
新エース誕生のお披露目となった舞台で、ユースから昇格した南野拓実はこう言った。
「背番号13番を着けさせてもらうことになりました。13番は、僕にとって憧れの先輩たちがつけていた番号なので、すごく重い番号です。それに負けないように、しっかり自分らしい13番にしていきたいと思います」
13番は、清武から柿谷へと受け継がれたナンバーである。それを今シーズンから背負う南野もまた、クラブの将来を背負うと期待される逸材だ。
森島が魂を吹き込み、冷凍保存することなく受け継がれてきた「8」。そして、その栄光のナンバーに到達するまでの“ステップ”として、清武と柿谷の決意を染み込ませてきた「13」。次々にトッププレーヤーを輩出してきたこのクラブの“次なる才能”は、特別なナンバーによって導かれているのかもしれない。