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日本はなぜ史上最多メダル数に?
ハイテクと巨大施設で目指した五輪。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO SPORT

posted2012/08/30 10:30

日本はなぜ史上最多メダル数に?ハイテクと巨大施設で目指した五輪。<Number Web> photograph by AFLO SPORT

東京都北区にある「味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)」は、日本初のトップレベル競技者用トレーニング施設。JOCやその加盟競技団体の選手・スタッフが使用している。

NTCのデータ分析が各競技のメダル獲得に大きく貢献。

 また、マルチサポート事業により、情報分析も進んだ。

 フェンシングの場合、端末ツールに試合やトレーニングの映像を数百件も蓄積。さらに試合におけるさまざまなデータも保存され、対戦相手の分析や戦略を練り上げることが可能になった。卓球では、北京五輪後のデータ分析から、海外のトップクラスの選手が得意とするさまざまな回転球を再現して射出できるマシンを開発。対策のひとつとして活用した。

 その成果を、日本選手団の塚原光男総監督はこう表した。

「NTCでやっていた競技がメダルを獲得できたということです」

 特に、フェンシングやアーチェリーなどの競技にとって、こうしたサポートが大きかったのは確かなところだろう。

有力競技ばかりに支援が集中する傾向には一考の余地も。

 ただ、すべての競技がマルチサポートなどの支援を受けているわけではない。サポートの対象となるのは、メダルの獲得が望める競技に限られているからだ。

 サポートを受けた競技の多くは、着実に成果を残すことができた。それが今までメダルを獲得することができなかった競技でのメダルの一因にもなった。だが、さらに幅広い競技の底上げを図るには、支援をより広い範囲としなければ容易ではない。

 長期的な視野のもとで取り組んできた卓球や北京五輪後、プロ・アマの垣根を取り払うなど強化のあり方をあらためたボクシングなど、競技団体の努力はむろん、重要である。

 その上で、より成績の向上を目指すなら、周囲のサポートも大きな意味を持つ。

 今回、戦後では最多となる29個の金メダルを獲得した開催国のイギリスは、莫大な予算を有力競技に注ぎ込んだことが奏功した。国家をあげて取り組む事例がますます増加しているのが今日である。

 といって、「選択と集中」ばかりが進み、有力競技のみの支援が厚くなるのは、スポーツの裾野を広げるという点ではマイナスに働く。一方で、どこまで支援の予算を拡大するかは、スポーツのあり方をどう考えるか、どう理解を得るかによる。

 それらのバランスをどう取っていくのかは今後の課題となる。

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