ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
ユース世代が負け続けてきた韓国。
疲労困憊の関塚ジャパンに勝機は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2012/08/10 15:35
吉田は「お互いのやり方は分かっている。気持ちの強い方が勝つ」とコメント。両国代表ともに準決勝から中二日で迎える3位決定戦。体力の限界を超えた死闘となるのは間違いない。
Jリーグをよく知る、A代表経験者が10人もいる韓国代表。
また今回の韓国には、ファン・ソッコ(広島)、キム・ボギョン(元セレッソ大阪、カーディフ)、ペク・ソンドン(磐田)、キム・ヨングォン(元大宮、広州)、チョン・ウヨン(京都)と、5人のJリーグ経験者がいる。彼らは日本の選手の個性はもちろん、日本サッカーについても精通している。
オーバーエイジ枠には、アーセナルに所属するパク・チュヨン、さらにDFキム・チャンス、GKのチョン・ソンリョンの3人が入り、A代表経験者が10人という強力布陣だ。
ニンジン作戦もモチベーションを掻き立てるものになっている。
メダルを獲得した場合、選手と監督合わせて約1億円の報奨金、さらに選手には2年半もある兵役の免除までがついてくる。韓国の選手にとって、これほど大きな成功報酬はない。
これまでのスタイルを貫き、強い気持ちで戦えるか?
だが、上記のことがすべて韓国に有利に働くかと言えば、そうではない。5人のJリーグ経験者は、裏を返せば彼らの情報も日本に筒抜けということだ。
韓国のオーバーエイジ枠も、どれだけ彼らが機能しているか試合を通して見てみると、吉田麻也を始め、日本のオーバーエイジの選手の方が機能しているのがよく分かる。名前やA代表経験者というステイタスという面では韓国に分があるが、サッカーはステイタスでやるものではない。宇佐美や大津らは、多少のビッグネームではビビらないチームでやってきており、肝っ玉は据わっている。
そこで勝敗の鍵となるのは、今までやってきたことをどれだけ貫けるかだろう。
日本としては、運動量が望めないのであれば、前からプレスに行く必要はない。スペイン戦のようにブロックを敷いて、ゾーンに入ってきた選手にプレッシャーをかけ、奪ったら永井の足を活かしたカウンターに徹すればいい。ヘタに打ち合うと体力を消耗し、点を取りに行く時、無理が利かなくなる。
幸い今の韓国は以前の代表チームと異なり、日本のようにパスを繋いでくる。ラインを高く保ち、網を張り、プレスを掛ければミスをして、獲れる確率はかなり高まると見ていい。
あとは、どれだけ強い気持ちを持って戦えるか、である。