なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
アメリカに敗戦、選手はどう考えた?
笑顔で終わった、なでしこの五輪。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2012/08/11 11:05
表彰台に向かうなでしこ達は、はじけるような笑顔を見せていた! 彼女たちの活躍は、日本中の多くの人に、金メダル以上の大きな感動と幸せをもたらした。
あと1歩、本当にあと1歩、金メダルに届かなかった。ロンドン五輪女子サッカー決勝、なでしこはアメリカに1-2で敗れ、銀メダルに終わった――。
下馬評は圧倒的にアメリカ優位。だが試合開始前、なでしこの選手たちは笑っていた。緊張とは無縁で、勝てる自信に満ちた、いい表情だった。
だが岩清水梓曰く「モーガンのスピードで、すぐに気が引き締まった」という。日本が最も警戒したのが、アメリカの2トップであるアレックス・モーガンとアビー・ワンバックだった。
「2トップは男子みたいなスピードとパワーがあるんで、いかに準備してこちらがいいポジションを取れるか。それが2トップを抑えるポイントでした」
岩清水が言うように、なでしこはこの2トップをフリーにさせないように、粘り強く、体を張って守った。しかし前半8分、思わぬ形で失点してしまう。
「DF陣がミスした上に、10番(カーリ・ロイド)がすごいスピードで入ってきたんで、止められなかった。序盤の失点だったので、かなり悔やまれましたね」
熊谷紗希がそう語るように、先制点は痛かった。この大会、初めてなでしこは追い掛ける展開になったのである。
前半は、ボール保持率の数字以上にペースを握っていたなでしこ。
だが前半17分、澤穂希の縦パスから川澄奈穂美が抜けてシュートを放つと、そこからリズムを取り戻した。
サイドの川澄と宮間あやを起点にして攻撃し、チャンスを作る。すると、なでしこがボールを保持する時間が徐々に増えていき、やがて日本のペースになっていったのだ。
前半、日本のボール保持率は55%と記録されているが、ほぼ日本のペースで試合は進んでいたのだ。
「前半は、アメリカに支配されている感じはしなかったので、後半もこのままの勢いでいければ絶対に点は取れると思っていました」
サイドから再三、チャンスを作った川澄は、そう思っていたという。