ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
ユース世代が負け続けてきた韓国。
疲労困憊の関塚ジャパンに勝機は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2012/08/10 15:35
吉田は「お互いのやり方は分かっている。気持ちの強い方が勝つ」とコメント。両国代表ともに準決勝から中二日で迎える3位決定戦。体力の限界を超えた死闘となるのは間違いない。
歴史の巡り合わせなのだろうか。
まさか3位決定戦で、銅メダルをかけて韓国と戦うとは思わなかった。
日本は、準々決勝のエジプト戦までは4試合無失点という素晴らしい内容だった。だが、準決勝のメキシコ戦では試合を引っ繰り返され、3失点を喰らい、1-3で敗れた。
日本は、連戦の疲れによって運動量が低下し、そのため走りで相手を凌駕できず、プレスが機能しなかった。
また、メキシコも日本をよく研究していた。
引いた状態でボランチに入ったボールを狙い、サイドから素早くカウンターを仕掛ける術が見事にハマり、日本をリズムに乗せなかった。
正直、日本の調子はエジプト戦以降、緩やかに下降している。疲労により選手のコンディションもベストには程遠く、永井謙佑も左太もものケガが完治しておらず、スタートダッシュに爆発力がない。加えて、メキシコ戦の敗戦のメンタル的なダメージもある。
「まだ、終わったわけではない。なかなか難しいですけど、気持ちを切り替えて、韓国戦に向けて準備するだけです」
東慶悟は、そう言ったが、自分にいい聞かすかのように話している様子を見ると、気持ちの切り替えは、そう簡単ではないということが分かる。
五輪決勝で、金メダルをかけブラジルと戦うという夢は、消えた。
メキシコに勝ち、金メダルを獲得するためにブラジルと戦うというのが、彼らの目標になっていた。だがその夢は叶わず、準決勝で無残な敗戦を喫した。
張り詰めた気持ちの糸が切れたとしてもおかしくはない。
それだけに、韓国戦で重要になってくるのは、戦術的なことうんぬんよりも、まず、どれだけ気持ちを韓国戦に向けられるかという、その一点であろう。
その韓国戦だが、日本にとっては少々やりづらい。
理由のひとつに、権田修一の世代は2008年、宇佐美貴史の代も2010年に行われたU-19アジア選手権準々決勝で韓国に敗れ、U-20W杯の出場権を獲得できなかったという記憶を抱えていることがある。
この世代は、「韓国には勝てない」という一種のアレルギーのようなものを既に抱えてしまっている代表なのだ。