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スペインが「メジャー3連覇」の偉業。
“支配できずとも勝つ”新次元の強さ。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/07/02 13:20

スペインが「メジャー3連覇」の偉業。“支配できずとも勝つ”新次元の強さ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

優勝トロフィーを囲むスペインの選手たち(前列左からイニエスタ、セスク、ピケ、シャビ、後列左からブスケッツ、アルバ)。グループリーグでの対戦では苦しめられたイタリアだったが、決勝では圧巻の強さを見せ、史上初のユーロ連覇を成し遂げた。

「支配しなくても勝てる」スペインへの進化。

 対戦相手にとって「ボール支配率をいかに50%に近付けるか」は、そのスタイルの“母体”とされるバルセロナ攻略法としても有効とされてきたテーマである。しかし、フランスは45%、ポルトガルは43%、イタリアにおいては48%とほぼ目標を達成したにもかかわらず、その牙城を崩すことができなかった。これまで常にボール支配率で圧倒してきたスペインにとって、「支配しなくても勝てる」という結果は進化の表れでもある。

 ユーロ2008のウィーン、南アフリカW杯のヨハネスブルクに続き、主将のカシージャスはここキエフでも王者のカップを掲げた。スペインの面々が歓喜に沸くその光景の端には、悔しさに涙するピルロと、大人への階段を上り始めたバロテッリのうなだれる姿がある。今大会を通じて新たな可能性を示したイタリアの健闘は、しかし皮肉にも、一度は完成されたはずのスペインの、さらなる進化を映し出す鏡となった。

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