青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER

成績不振の石川と共に視聴率も急落。
今、ゴルフ界に求められているもの。 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byKeisuke Nakanishi/AFLO

posted2011/10/15 08:01

成績不振の石川と共に視聴率も急落。今、ゴルフ界に求められているもの。<Number Web> photograph by Keisuke Nakanishi/AFLO

10月6日から戸塚CCで行われたキヤノンオープン初日。石川は1イーグル、7バーディ、2ボギーの65で周り、今季最高の2位でスタート。翌日のテレビや新聞でも大きく扱われた

 男子ゴルフの視聴率が低迷している。

 コカ・コーラ東海クラシックまでの17試合を終えてもいまだに二桁の数字に達した試合が1つもない。今季最高は開幕戦の8.6%(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ。10月7日現在)。この4年間で秋口まで二桁視聴率がなかったのは初めてのことだ。

 男子の視聴率の浮沈を左右するのはなんといっても石川遼の成績である。つまり視聴率の低迷は今季の石川の苦闘ぶりが現れた数字だとも言える。

 石川が予選落ちした試合の最終日は4試合平均で5.675%。一方、予選を通った試合は7.52%と優勝争いに絡まずとも顕著な差が生じている。先月のパナソニック・オープンでは、大会3日目の中継内容があまりに人気選手に特化し過ぎているという批判があったというが、その3日目の視聴率は5.2%。石川、池田以外の選手によるノーマルな優勝争いの風景に戻った最終日は4.8%とさらに数字を下げている。

 この事実を見れば、テレビ局の判断も一概には否定できない。1つの確たる指標に基づいて番組を作った結果だからである。プロ野球も地上波中継が次々に姿を消し、専門チャンネルでの視聴が主流となりつつある現在、地上波のゴルフ中継にだけ“純スポーツ的”な視点を求めるのは酷かもしれない。

石川が持つ「見るスポーツ」としての視聴者への訴求力。

 たとえば、今年から新設された5月のとおとうみ浜松オープンは地上波がつかず、BS-TBSでの5時間生中継という大胆なスタイルを採用した。

 番組単体での視聴率は不明だが、BS、CSを合わせた「その他視聴率」は、中継開始直後の11時台には6%だったものの、15時台には13.3%に上昇。さらに石川がプレーオフを争った16時台には15.0%まで上昇した。中継終了後に数字が急降下したことを考えると、同局関係者は「推定10%ぐらいじゃないか。BSで二桁なら、ゴールデンでの野球中継に匹敵する」と語っていた。石川が優勝争いに絡んでいたのも影響しているだろうが、予想以上に好評だったのである。

 これはいい試みだったと思う。石川の訴求力はマスへのゴルフ発信に生かしつつ、コアなファンのための受け皿もつくる。「やるスポーツ」に比べて大きく劣っている「見るスポーツ」としてのゴルフ文化は、両輪で育てていく努力が必要だ。

【次ページ】 外国人が席巻する日本ツアーの現状も閉塞感を助長。

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