なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
W杯優勝で盛り上がるなでしこリーグ。
熱気を持続させるのに必要なことは?
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byToshiya Kondo
posted2011/08/07 08:00
7月24日(日)にホームズスタジアム神戸で開催された、なでしこリーグのINAC神戸レオネッサvs.ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの試合。スタンドは観客で埋め尽くされた
人気を持続させるための必須条件は「強い」こと。
さて今後、代表、リーグを含めた“なでしこ人気”を継続させるためにはどうしたら良いのか。
まず、一つ目は優勝という結果から出た人気であることが大前提なのだから、この強さをキープしていかねばならない。
もちろん、その必要性は選手たちが一番理解していることではあるだろう。
例えば、丸山桂里奈は決勝戦後に、開口一番こう言っている。
「優勝したのはいいけど、これ次、大事じゃないっすか? 続けて行かないと、今回まぐれだったと思われるでしょ?」
帰国後、芸能プロダクションと契約したり、歌手デビューを果たしたりとピッチ外での華やかな側面がクローズアップされる彼女ではあるが、優勝した途端に、そんなことを心配していたのだ。
なでしこ人気を持続させるためには五輪出場が絶対条件。
直近で結果を求められるのは9月のロンドン五輪アジア最終予選だ。
だが、代表選手たちは大事な休養をとる暇が無い状態に陥っている。
7月17日にドイツでW杯決勝を終え、澤穂希選手などは早くも7月24日の公式戦に出場している。8月はなでしこリーグの試合回数こそ減るが、五輪予選に備えての代表合宿を経て、9月上旬にはもう最終予選という、男子では考えられない超ハードスケジュールなのである。
しかも、ホームアンドアウェイ形式の試合でさえなく、セントラル方式で日本、オーストラリア、北朝鮮、中国、韓国、タイの6カ国が中国の一地方で総当たりし、そのうち2カ国のみが出場権を得るという厳しい戦いとなる。
この6カ国中2位に入ることもそもそも難しいが、過密日程と国内での猛烈なフィーバーぶりで、選手たちはコンディション調整すらままならないというのが現状だ。
もっとも、代表自体の活動はここ数年充実している。
佐々木監督が昨年のU-20ワールドカップの世代も併せて指揮していたことで、下の世代との戦術コンセプトの共有も出来ているし、次世代育成と広い視野での強化を目的としたなでしこチャレンジプロジェクトなるものも進行している。年間の招集回数も決して少なくないし、北京五輪以降強豪とのマッチメイクも容易になっている。
ただ、それらを継続するためにも、五輪出場すらかなわないという事態は何がなんでも避けなければならない。