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W杯優勝で盛り上がるなでしこリーグ。
熱気を持続させるのに必要なことは?
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byToshiya Kondo
posted2011/08/07 08:00
7月24日(日)にホームズスタジアム神戸で開催された、なでしこリーグのINAC神戸レオネッサvs.ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの試合。スタンドは観客で埋め尽くされた
「もうパニックですよ!! なでしこパニック!!」
8月上旬、なでしこリーグのとあるクラブのスタッフに電話を入れてみると、若干キレ気味の第一声が響いた。
ワールドカップ決勝戦直後からのメディアでの大きな扱いに始まり、ここに来て国民栄誉賞の受賞。Jリーグのクラブに比べ限りなく小規模で運営されている彼女たちのクラブは、メディア対応を始めとする各種対応にてんてこまいなのだという。
それにしても、嬉しい悲鳴を通り越して、語気の荒さからは怒りすら感じるのはいったいなぜだ?
「だって、北京(なでしこ史上最高位の4位になった)の時だって一瞬盛り上がって、そのあと、ファンというよりメディアの波がさーっと引いて行ったので。その引き方を経験してますからね……」
至上命題は浮動ファン層を固定支持層に変えること。
たしかにワールドカップ終了後、注目の代表組が合流したなでしこリーグは活況を呈している。
7月の主要カードの動員数を見てみると
・7/24 INACvs.ジェフ 17,812人(代表合計8人)……昨季同カード431人 ↑
・7/24 岡山湯郷vs.伊賀FC 3,432人 (代表合計2人) ……昨季同カード914人 ↑
・7/30 日テレvs.伊賀FC 3,750人(代表合計2人)……昨季同カード700人 ↑
・7/31 INACvs.岡山湯郷 21,236人(代表合計9人)……昨季同カード501人 ↑
代表7人を擁するINACの盛り上がりは少々特別だとしても、各チームともそれなりに盛り上がっていると言える数字だ。クラブ関係者によると、やはり今回のワールドカップ優勝で新たになでしこに興味を持った層が多いようだとのことだった。
例えば、マッチデープログラムに記載されていた編集プロダクションあてに、クラブ情報の問い合わせが相次いだのだという。どうやらクラブのウェブサイトの存在すら知らないレベルの初心者ファンが急増しているようだ。
もちろん、このこと自体は大変喜ばしいこと。だが、代表人気から派生したリーグの盛り上がりを支えている主な層、いわば浮動ファン層を固定層に変えていくために、各クラブは大きな努力をしていかなければならない。北京五輪後に経験した急速なブームの終焉を思い出してスタッフが今後を憂う気持ちもよく分かる。