NBAの扉を開けBACK NUMBER
いよいよ開幕。
群雄割拠のNBAを制するのは?
text by
小尾慶一Keiichi Obi
photograph byIssac Baldizon/NBAE via Getty Images/AFLO
posted2007/10/30 00:00
ウェストは、マーベリックス、サンズ、スパーズの三つ巴である。
やや有利なのが、リーグ最高勝率をあげたマーベリックス。PFのダーク・ノヴィツキーは、213cmの長身とシューター並みのシュートタッチを併せ持つ。スピードのあるデビン・ハリスと、シュート力のあるジェイソン・テリーのガードデュオも破壊力抜群。また、守備型SFトレントン・ハッセルや、サマーリーグで活躍した若手PFブランドン・バスなど、新加入選手も渋い活躍を期待できそう。主力を維持し、地味ながら効果的な補強をした今季は、プレイオフ1回戦負けの悪夢を拭い去れるはずだ。
サンズも、主力が残留。加えて、ベテランSFのグラント・ヒルを獲得した。3年連続アシスト王のスティーブ・ナッシュ、すさまじいスピードを誇るCアマレ・スタッダマイアー、鋼の肉体を持つフォワードのショーン・マリオンなど、先発陣の攻撃力はNBA最強。相変わらずインサイドは手薄だが、それも魅力のひとつだ。成熟を迎えたスピーディな攻撃バスケットで、今季こそ頂点を狙う。
前年度王者のスパーズは、ここ9年で4回も優勝している真の強豪。だが、コアメンバーが軒並み高齢化しているのが不安である。ファイナルMVPのスピードスター、トニー・パーカーはまだ25歳だが、今夏の五輪予選の疲労が残っているはず。とは言え、「ミスター・ファンダメンタル」と称されるリーグ最高のPFティム・ダンカンがいる限り、大崩れはしないだろう。できるだけケガのない状態でプレイオフにたどり着けば、2連覇も可能だ。
ちなみに、ぼくが個人的に注目しているチームは、ロケッツ。故障の多かった昨季はウェスト4番手の勝率に終わったが、このオフの補強に成功。FA市場でガードのスティーブ・フランシスを格安で獲得。それから、出場機会のない選手と交換で、欧州最高クラスのPFルイス・スコラを手に入れた。汚れ仕事もこなせるスコラは、229cmのヤオ・ミンや得点王を狙えるSGトレイシー・マグレディと、うまく共存できるはず。ガードとフォワードを中心に大充実のチームを率いるのは、新ヘッドコーチのリック・アデルマン。柔軟なオフェンスシステムに定評のあるアデルマンが、守備主体だったロケッツを、どう作り変えていくかに注目したい。
今季も、群雄割拠のNBA。はたしてどのチームが、ファイナルの大舞台でファンのハートをつかむのか。これから約8カ月間、世界最高レベルのバスケットボールを味わい尽くそう。