NBAの扉を開けBACK NUMBER
いよいよ開幕。
群雄割拠のNBAを制するのは?
text by
小尾慶一Keiichi Obi
photograph byIssac Baldizon/NBAE via Getty Images/AFLO
posted2007/10/30 00:00
ハロウィンのジャックランタン(お化けかぼちゃの提灯)が街を彩るころ、NBAは新たなシーズンを迎える。今季の開幕は、日本時間10月31日。2月のオールスター、4月から始まるプレイオフを経て、6月のファイナルへ──。最大110試合という長丁場を、平均身長2メートルの大男たちが駆け抜ける。
東西30チームの中で、最も注目を集めているのは、イーストのセルティックスだ。エースフォワード、ポール・ピアースの孤軍奮闘が目立った下位チームが、オフに大変身。超一流オールラウンダーのケビン・ガーネットと、NBA屈指のSG(シューティングガード)レイ・アレンを獲得し、ガーネット、アレン、ピアースの豪華トリオが誕生した。しかし、その代償として、選手層が極端に薄くなってしまったのも事実である。特に、PG(ポイントガード)とC(センター)は手薄。若手の台頭がなければ、イーストを勝ち抜くのは難しいだろう。
イーストの最有力候補は、おそらく、ブルズだ。得点力の高いSGベン・ゴードン、ミドルレンジに強い大型SF(スモールフォワード)ルオル・デン、アメリカ代表にも選ばれたPGカーク・ハインリックなど、生え抜きの若手が成長。守備型Cベン・ウォーレスを加えた昨季は、2位と僅差でイースト3位につけた。このオフは、手薄なインサイドに、期待の新人ジョアキム・ノアが加入。2年目PFタイラス・トーマスの成長も見込めるため、安定して勝ち星を重ねるはずだ。
キャバリアーズとピストンズは、そのブルズに匹敵する力を持つ。
NBAの未来を担うスーパースター・レブロンは、昨季、驚異的な活躍でキャバリアーズをファイナルへ導いた。期待は高まるばかりだが、チーム力はやや下降気味。現戦力の契約更新がまとまらず、シーズンを見据えた練習ができない状態が続いている。レブロンが怪物級の活躍を見せなければ、前年度を上回る成績は残せないだろう(レブロンならやってのけてしまいそうな気もするが)。また、03-04シーズン王者のピストンズは、SGリチャード・ハミルトンやPGチャンシー・ビラップスなど、黄金期を支えた主力が健在。イーストを制する力は十分にあるが、チームとしてピークを過ぎた感がある。大きな転換期を迎える前に、もう一度頂点を極めたいところだ。
逆に、将来に期待を持てるのが、ラプターズだ。大改革を行なった昨季は、欧州出身選手の多いチームを構築。球団史上最高の47勝をあげ、初の地区制覇も達成した。23歳のボッシュは、平均成績が20点・10リバウンドを超え、エリートPFの仲間入り。06年ドラフト1位のイタリア人ビッグマン、アンドレア・バルニャーニも、攻撃面でまずまずの成績を残した。TJフォードとホセ・カルデロンのPGデュオも健在である。オフの補強も合格点で、3ポイント王のジェイソン・カポノらを獲得。将来的にイーストのトップを狙える戦力を手にしている。