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「脱落者ゼロ」も「最初は行きたくなかった…」全国ベスト4強豪校が“ナゾの自衛隊特訓”…部員150人を抱えるサッカー部監督の狙いは?
posted2025/04/08 11:01

自衛隊の訓練に体験入隊した高川学園高校サッカー部
text by

安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
3月12日、陸上自衛隊山口駐屯地。
敷地の中央に位置するグラウンドには、迷彩服を身にまとった自衛隊員が機敏な動きを見せていた。その数、およそ80名。だが、よく観察すれば表情は幼く、動きも少しぎこちない。それもそのはず、彼らは自衛隊員ではなく地元・山口県の高校生だった。
この日、チームバス3台で駐屯地を訪れたのは、地元の強豪校の一つである高川学園高校サッカー部だ。到着してまもなくジャージから迷彩服に着替えた部員たちは、『陸自戦闘長靴III型』という足首全体を覆う靴に履き替え、特殊訓練に参加した。
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「もう足と腕がパンパンです。この靴だと思うように足が動かせないので本当にキツイ……」
序盤こそ笑顔が見えたが、気づけばほとんどの部員が大の字になって倒れ込んでいた。日々、厳しい練習環境に身を置く高校生とはいえ、過酷な訓練は相当堪えたようだ。
トルメンタで話題になった高川学園
高川学園サッカー部といえば、第100回全国高校サッカー選手権大会(2021年度)でセットプレーの際に輪になって回る“トルメンタ(スペイン語で嵐の意)”の奇策で話題をさらった。同大会でベスト4入りを果たした他、これまでも数多くのJリーガーを輩出している。そんな全国屈指の強豪校が、なぜ自衛隊の訓練に参加したのか。
「我々の日常では絶対に経験できないこと。規律や集団行動など、自衛隊から学ぶことは大きいと思ったんです」
そう真意を明かすのは、サッカー部を指揮する江本孝監督だ。