「人生をリセットしたい…」大学受験に2度失敗…落胆した「普通のサッカー少年」の思い付き「全米No.1競技でプロになろう」その後の“まさかの軌跡” 

　帰国後、松澤はそれまでの人生で触ったこともなかった楕円形のボールを買った。そして、すぐにフットボールの練習を始めた。練習といっても、どこかのチームに入ったわけではない。家の近所の公園で、ひたすらボールを蹴り込んだのだ。

「アメフトをやりたいというより、NFL選手になりたいという気持ちが強かったです」

　自分の能力を考えたら、キック1本で勝負できるキッカーしかない。NFLというゴールを考えると、アメリカの大学でプレーする必要がある。

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「だから、日本の大学に入ることは考えなかったです」

「競技未経験の20歳」がNFLに行くためには…？

　では、英語圏外の競技未経験選手がNFLのドラフトにかかるような全米トップレベルの大学に行くにはどうすればいいか。調べると、コミュニティカレッジ（※日本の短大にあたる）に行き、そこから4年制大学に編入できることがわかった。

「これだ」

　松澤は僥倖を得た。ただ、当然ながらそれには学費や生活費が必要になる。

「すでに浪人生活で、親のお金を使っていた自覚はありました。だから、自分でお金を貯めないと両親を説得できないと思いました」

©Naoki Kitagawa

　まずは資金を作るために、都内にあるアメリカ発祥のステーキハウスで朝から夕方まで週5日働いた。友達と会うことも控えて、稼いだお金のほとんどを貯金に回した。

「アルバイト先のマネージャーさんがすごくいい人で、僕の目標をわかってくれて。どうやったらトレーニングと勉強を両立させながら稼げるかなど色々と相談に乗ってくれました」

　毎日毎日、黙々と自主練とアルバイトに打ち込んだ。

　YouTubeでNFLやカレッジのトップキッカーの動画をたくさん見て、ひたすら真似をする。誰かに教わるという選択肢はなかったのだろうか。

「日本人でNFLに行った人がいない中で、誰かに否定されたり、強制されたりすることは嫌だったので、自分の力を信じてやろうと思いました。ちなみに米国のテレビ放送ではこの話が変な伝わり方をしてしまって、YouTubeで学んだ『YouTube Kicker!』みたいに言われたりしています（笑）」

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