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「人生をリセットしたい…」大学受験に2度失敗…落胆した「普通のサッカー少年」の思い付き「全米No.1競技でプロになろう」その後の“まさかの軌跡”
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北川直樹Naoki Kitagawa
photograph byNaoki Kitagawa
posted2025/02/10 11:00
現在、NCAA1部のハワイ大学アメリカンフットボール部で正キッカーを務める26歳の松澤寛政。20歳まで縁のなかった競技でプロを目指した破天荒な理由は…?
そんな生活が2年ほど続き、少しずつ自信をつけた松澤は次のステップへと進んだ。
それが、自主練のビデオを撮り、SNSを通してコミュニティカレッジのヘッドコーチにアプローチすることだった。選り好みできる立場ではない。実際にコミュニティカレッジでアメリカンフットボール経験がある人からアドバイスをもらい、片っ端からSNSで見つけたコーチに動画を送り続けた。すると、カリフォルニアとオハイオにある学校から返信が来た。
現地校から返事も…「来たいなら勝手にどうぞ」
ただ、もちろんオファーというほどのものではない。奨学金が出るわけでもなく「来たいなら勝手にどうぞ」程度の温度感だったという。
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「人間として未熟な自分を叩き直して、厳しい環境で成長したいという気持ちがありました。それに、カリフォルニアは旅行とかでも行けますし、日本人になじみのないオハイオはこれを逃すと一生行けないかなと思って、そっちを選びました(笑)」
コミュニティカレッジは、英語の要求水準が4年制大学よりも低い。受験勉強で読み書きとリスニングはある程度できたため、この点も松澤にとって好都合だった。オハイオにある『ホッキングカレッジ』ではスピーキングの試験も課されなかった。
ホッキングカレッジに入学してからも、最初の3カ月は「Yes」と「No」しか話せないレベルだったという。それでも大学の敷地内に寮があり、食事も朝昼夕の3食が出ることもあって、生活に大きく困ることはなかった。
だが、その先に待っていた過酷な日々は、想像以上のものだった。
<次回へつづく>

