「帰国後は築173年、夫の実家に」1男2女出産と柔道指導…藤井裕子一家のブラジル生活12年は幸せだった「できれば、もっといたかったな」 

「リオにいる日本人駐在員からも話を聞いて、上の子が10歳になった頃に日本へ帰ろうと考えていました。それ以上の年齢になると、日本での勉強に苦労する可能性が高いと考えたからです」

――陽樹さんは元教員で、裕子さんは教育学部の大学院を卒業しており、2人ともスポーツ経験を持つ教育者です。これまで、清竹君と麻椰ちゃんの日本語勉強にどう取り組んでこられたのでしょうか。

「日本語を学ぶ際、漢字の習得が大きな問題となります。日本では漢字を繰り返し書いて覚えることが多いと思いますが、小学生年代で反復学習をやり過ぎると自分で考える力や自主性を損ないかねないと考えています。また、強制的に宿題をやらせるのも自主性や創造性を阻害する可能性があると考えます。

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　そこで、漢字を一切書かず、頭でイメージして覚える方法、いわゆるイメージフィックス法を実践させています。また、2人とも小学校1年からオンラインで日本語の授業を受けていますが、先生の了承を得て、基本的に宿題はやらせていません」

少しずつ家族が増え、かけがえのない時間を

――日本へ戻ってから、勉強面で不安はありますか？

「なくはないですが、多少の遅れがあってもいずれキャッチアップできると思っています。むしろ、日本の学校生活に適応できるかどうかの方が少し心配ですね。ブラジルは自己主張するのが当たり前の社会ですが、日本はそうではないと思うので……」

囲炉裏の前で、清竹君　※家族提供

　なおこの点について、裕子さんは「実は、私はあまり心配していません。多分、周囲の人たちから『藤井家はみんな変わっている』と言われると思いますが、それでもいいと思っています（笑）」と話している。

――裕子さんと結婚して、一緒にブラジルへ来てから12年。幸せでしたか？

「そうですね。密度が高い時間を共有し、少しずつ家族が増え、かけがえのない時間を過ごすことができて、とても幸せでした」

――日本での新生活については？

「私を含めた家族の一人ひとりが、新しい環境で新しいことを始める。とても楽しみで、ワクワクしています」

2人の子供にも話を聞いてみると

　2人の子供にも話を聞いた。まずは清竹くんから。好きな選手はメッシ、フィリペ・コウチーニョ、エンドリッキだという。ブラジルで生まれ育って10年。これまで、どんな気持ちで生活してきたかと聞くと、「思う存分、好きなフットボールができて、沢山、友達もできた。とても楽しかった」と語る。かつて「どうしてもプロ選手になりたい」と話していた意欲について問うと、こう返ってきた。

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