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「書くに堪えない暴言が逆側で」久保建英への“人種差別ヤジ”現場で何が…撮影取材で見た背景「簡単に言い表せないけど」スペイン人も寂しそうに
posted2025/01/25 17:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
1月19日、ラ・リーガ第20節、久保建英が所属するレアル・ソシエダは、敵地でバレンシアと対戦して0−1で敗れた。この試合、久保は後半17分からの途中出場となった。スタジアム内での人種差別的な言動について大きく報じられたこの一戦を――撮影取材で訪れていた。
ゴラッソ後の試合で控え…久保とソシエダの葛藤
前節ビジャレアル戦では久保のゴラッソで勝利を収めるなど、背番号14はチーム内で出色の活躍を見せている。しかしその久保をベンチスタートにした結果が敗戦。現地メディア、ファンからも指揮官への疑念の声が上がった。ただソシエダは、中2日での連戦が続いていた。またバレンシア戦から中3日(現地23日)でヨーロッパリーグの敵地ラツィオ戦が控えていた(※1−3で敗戦。久保はハーフタイムで途中交代)。指揮官イマノル・アルグアシルが主力の久保、オヤルサバルらをターンオーバーしたい意図が見てとれた。
とはいえ下位に沈むバレンシアへの敗戦は、意図せぬものだったようだ。試合後イマノルは、「互角の勝負をしたが敗戦は正しい。彼らはゴールを決め、自分たちは決められなかった」と何度かあった決定機逸を悔やむとともに「連戦で多くの選手が疲労を感じている、先発の変更をしなければならなかった。フレッシュな選手たちがチャンスを掴むことができなかった」とコメントを残している。
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近年コンスタントに欧州カップ戦に参戦しているとはいえ、ソシエダのようなクラブが常に好成績を残すのは容易ではない。ビッグクラブから常に移籍マーケットでターゲットとされ、また下部組織出身選手がベースとなる戦力だと、過密日程時にローテーションした際の戦力がガクッと落ちるのも必然である。レアル・マドリーやバルサに対し肉薄の接戦を見せるが、下位に黒星を喫する——まさに、ソシエダのチーム規模を象徴する結果となった。
一方、バレンシアは試合前時点で最下位とはいえ、残留に向けてモチベーションは高まっていた。昨年末に新監督としてカルロス・コルベランを招聘した。初采配のマドリー戦こそ敗戦したが、以降の公式戦3戦を2勝1分け。試合終了の笛が鳴り響いた際の選手とファンの歓喜は、まるで残留を決めたかのようだった。それほどまで、この試合における両チームの熱量差は大きかった。
18歳久保がデビューした地でもあった
久保にフォーカスを向けると——バレンシアの本拠地メスタージャは、当時18歳の久保が、マジョルカの一員としてリーガデビューを果たした地である。