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〈大東文化大学〉「目標は5位以内」…強気で勝負に挑む「史上最弱世代」の逆襲を西川千青(4年)が力強く牽引する

posted2024/12/20 10:00

 
〈大東文化大学〉「目標は5位以内」…強気で勝負に挑む「史上最弱世代」の逆襲を西川千青(4年)が力強く牽引する<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

出雲駅伝では6区を走った西川。区間5位と好走したが、チームは目標の5位以内に届かず10位に終わった

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Nanae Suzuki

 大東文化大学は今季の目標に「学生三大駅伝すべて5位以内」を掲げる。しかし、10月の出雲駅伝は10位、11月の全日本大学駅伝は11位と、いずれも目標順位には届かなかった。

 それでもチームの雰囲気は暗くない、と真名子圭監督は話す。

「さすがにキャプテンの西代(雄豪・4年)は不安になったようですけど、一度立てた目標はやり抜こうということで話をしました。決して5位が見えないレース展開ではなかったですし、失いかけた流れを取り戻せたところもあった。今は逆に、ふたつダメだったからこそ箱根駅伝では絶対にって、そんな雰囲気が出てきています」

 全日本大学駅伝の後、上尾シティハーフマラソンで棟方一楽(2年)がU20の日本記録を上回る1時間1分38秒で優勝。5位に入賞した入濵輝大(3年)を含め、この大会では8名もの選手が自己ベストを更新するなど、チームは上昇気流に乗る。

 古豪復活の過程にあるチームで、中心となるのはやはり4年生たちだ。前回の箱根駅伝には6名もの選手が出場。その中で今季、エースと呼ばれるまでに成長したのが西川千青である。2月の香川丸亀国際ハーフマラソンで当時の大東大新記録となる1時間1分55秒をマーク。出雲駅伝でもエース区間の6区を任され5位と好走した。「箱根駅伝も2区は西川に任せる予定です」と監督の信頼も厚い。

「実力的にもそうですけど、チームの雰囲気を変えるのも西川なので。一番キツいと後輩たちが思うところでパッと声を出せる。性格も明るいですし、引っ張る力もあります。卒業後はトップクラスの実業団に進むので、最後の箱根駅伝はひと皮むけた走りをさせたいと思っています」

低迷期に入学した最弱世代

 シード校のエース。そう聞くと陸上競技のエリートを想像するが、じつは西川たちは「大東大史上最弱」と呼ばれて入学してきた世代だった。持ちタイムはもとより、コロナ禍でインターハイが中止となり、経験値も他の学年より低かった。

 大東大自体が低迷期にあり、入学した当初は箱根駅伝を走ることも現実的ではなかった、と西川本人も話す。

「だからこそ、自分たちは見返してやりたいって思いがとにかく強くて。どの学年よりもしっかり距離を踏んで走ってきました。西代とはよく『自分たちの代で学生三大駅伝に復活したいね』って話をしていて、それが叶ったのが本当に嬉しいです」

 1年目は本大会に出られず、3区と8区の走路員を務めた。2年目はうまく練習が積めず、一時は陸上競技から離れることも考えたという。自身が変わるきっかけになったのが、高校時代からの親友を原因不明の病で亡くしたことだった。

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