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ノリックも大治郎も原田も昔は年中バイク乗り放題…制限だらけの今のライダーはどこでどうトレーニングしてるのか?
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2024/12/10 11:00

ウエイトトレーニングに励む2003年のノリック
その他のライダーたちがどうかといえば、伊藤真一、岡田忠之、宇川徹、加藤大治郎と続いたホンダ勢や、原田哲也、中野真矢、芳賀紀行などのヤマハ勢は、マシンテスト、タイヤテストなどで一年中サーキットを走っていることが多かった。
当時は日数の制限がなかったプライベートテストが中心で、スペイン、ポルトガル、マレーシア、オーストラリアで盛んに行われ、シーズンオフだけでも20日前後実施されていた。メーカーのテストコースでの走行日も含めれば、サーキットを離れてバイクトレーニングをする時間はほとんどなく、フィジカルトレーニングが中心になるのは当然のことだった。
テスト走行が減っての変化
それが次第にサーキットでのテスト走行が減り、ライダーたちは、バイクに乗る機会を求め、モトクロスやダートトラックをするようになる。そういう時代の変化のなか、2010年4月に当時ナンバーワンライダーだったバレンティーノ・ロッシがモトクロストレーニングで右肩を負傷したことが大きなニュースになり、あらためてMotoGPライダーのトレーニングが話題を集めた。
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その数年後、ロッシは生まれ育ったイタリア・タブーリアに総合的なオフロードの練習場を作り、さらに「VR46ライダーアカデミー」を創設。多くのグランプリライダーを育ててきた。ドゥカティで2年連続タイトルを獲得したフランチェスコ・バニャイアもそのひとりである。
スペインではマルクとアレックスのマルケス兄弟が、時間の許す限りバイクトレーニングに励み注目を集めている。市販ロードマシンでのサーキット走行、モタードにモトクロスと、スペインの一年中温暖な気候を活かし、圧倒的な量の練習を積んでいる。その目的はもちろん速くなるため。「バイクに乗って練習あるのみ」ということで、一緒に走る若手ライダーたちは世界チャンピオンから多くの刺激をもらっている。