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ノリックも大治郎も原田も昔は年中バイク乗り放題…制限だらけの今のライダーはどこでどうトレーニングしてるのか? 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2024/12/10 11:00

ノリックも大治郎も原田も昔は年中バイク乗り放題…制限だらけの今のライダーはどこでどうトレーニングしてるのか?<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ウエイトトレーニングに励む2003年のノリック

 しかし、こうしたトレーニングで怪我をするライダーは多く、マルク以外にも本番に影響が及んだ事例は多い。今季Moto2クラスで世界チャンピオンに輝いた小椋藍は23年のシーズン開幕前に左手首を脱臼骨折し、その怪我の影響でタイトル争いに加わることなくシーズンを終えた。だからといって、バイクに乗ってのトレーニングを止めようとはしなかった。

 日本にいるときの小椋は時間が許す限り、子どものころから腕を磨いてきた埼玉県・桶川スポーツランドで走り込んでいる。1周約800mのこのサーキットで、250ccロードマシンや450ccのモタードマシンで常に全力全開をモットーとしている。数年前まで出場していた桶川スポーツランドのレースでは、出場したほぼ全クラスのレコードタイムを樹立。それはいまもレコードであり、練習走行ではタイム更新に全力を注いでる。

桶川でも最速を目指すわけ

 小排気量のバイクで走る目的は「バイクに乗ってタイムを更新していく」ことにあり、そこから速く走るためのヒントが生まれる。タイトルを獲得したMoto2マシン、これから乗ることになるMotoGPマシンについては、1000ccの市販マシンでサーキット走行するときの方が「実戦的な練習になる」と語るが、そう毎日走れるわけではない。そのため小椋は日本にいるとき、朝起きて天気が良ければ桶川スポーツランドか近くのモトクロス場に行く生活を送っている。

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 そんな小椋を慕って多くの若いライダーたちが桶川スポーツランドに集まる。排気量の小さいバイクは体重の軽い子どもたちの方がスピードという点で圧倒的に有利だが、小椋はそれでも最速を目指す。なぜなら、最速の自分が若手たちの目標であることが「一番の指導方法だから」だと笑う。

 ホンダ育成ライダーから卒業して今年は念願の世界タイトルを獲得した。来季は最高峰クラスのMotoGPクラスを戦う。「どんなトレーニングが必要なのかは、実際に走って行くことでわかってくると思う」という小椋だが、果たして今後どんなレースを見せてくれるのか。そして、どんな成長を見せてくれるのか楽しみである。

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