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3年連続・山本由伸はドジャースに去り…沢村賞とサイ・ヤング賞の決定的違い「そもそも選考基準なし」現代指標で“受賞に値する3投手”は? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/11/04 11:01

3年連続・山本由伸はドジャースに去り…沢村賞とサイ・ヤング賞の決定的違い「そもそも選考基準なし」現代指標で“受賞に値する3投手”は?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

オリックスからドジャースに渡った山本由伸。日本の沢村賞とメジャーのサイ・ヤング賞にはどんな違いがあるのか

 かつては「最多勝」「防御率1位」といった個人タイトルを受賞した投手が選ばれることが多かった。しかし今ではそうした従来の評価ではなく、セイバーメトリクスの総合指標で、大谷翔平らMVP選考の際にも話題となるWAR(Wins Above Replacement)が最重要視される。たとえば2018年ナ・リーグは10勝9敗のメッツ、ジェイコブ・デグロムが受賞、デグロムは翌年も11勝8敗で連続受賞している。

新たな評価基準はいくつもあるだけに

 筆者には沢村賞の評価基準の見直しは喫緊の課題のように思える。

 NPBでもWARを発表している会社はあるが、一般的には発表されていない。とはいえ、WARを使わないとしても新たな評価基準はいくつもある。そのいくつかを挙げる。

 現代野球では「奪三振」は、振り逃げ以外で走者を出さない「最も安全なリザルト」だとされる。一方で「与四球」は、打者をアウトにすることができない「最も残念なリザルト」だ。奪三振率(K9)、与四球率(BB9)、あるいはK/BB(奪三振数÷与四球数)を基準に加えるべきではないか。

・今季の規定投球回数以上のK/BB5傑
 菅野智之(巨人)6.94(111奪三振/16四球)
 加藤貴之(日本ハム)6.06(103振/17球)
 東克樹(DeNA)5.19(140振/27球)
 武内夏暉(西武)4.86(107振/22球)
 早川隆久(楽天)4.57(160振/35球)

 菅野は156.2回を投げて16与四球、驚異的な数字だ。

高橋宏斗が更新した「隠れた大記録」とは

 さらに「被本塁打」が少ないことも、投手として評価できる指標だ。これはHR9(9回あたりの本塁打数)という数値で表される。

・HR9の5傑
 高橋宏斗(中日)0.06(1本/143.2回)
 才木浩人(阪神)0.21(4本/167.2回)
 大瀬良大地(広島)0.29(5本/155回)
 種市篤暉(ロッテ)0.31(5本/147.1回)
 菅野智之(巨人)0.34(6本/156.2回)

 今季の高橋宏は9月10日のヤクルト戦で村上宗隆に本塁打を打たれるまで18試合連続で1本の本塁打も打たれなかった。これまで規定投球回数以上での最小被本塁打は1956年西鉄の稲尾、2012年日本ハムのウルフ、2023年オリックスの山本由伸の「2」だったから、高橋宏はこれを更新した。こうした「隠れた大記録」に目を付けるのも選考委員の仕事だと思うが……。

 もう一つ挙げるなら「先発投手の最低限の仕事」とされる、QSだろう。第1回で触れたとおり、日本球界におけるQSは「先発で7回以上投げて自責点3以下」となっている。

【次ページ】 沢村賞に値するのは高橋宏斗以外にも…

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