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藤井聡太“八冠達成”から1年後「前例は参考にしてないので」再戦で連敗直後、記者の電話に応じた永瀬拓矢の口調は“意外と暗くなかった”…なぜ? 

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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posted2024/09/26 06:02

藤井聡太“八冠達成”から1年後「前例は参考にしてないので」再戦で連敗直後、記者の電話に応じた永瀬拓矢の口調は“意外と暗くなかった”…なぜ?<Number Web> photograph by Shintaro Okawa

王座戦第2局の終局直後。藤井七冠の勝利に終わった一方で、永瀬九段の語った言葉とは

 最終盤で詰みを逃して藤井に八冠全制覇を達成させた前期第4局の夜の電話取材も同じような様子だったことを思い出した。

 まずは将棋の内容について尋ねた。

 角換わりの定跡形ということは、どこまで認識があったのか、つまり研究の範囲だったのかが大事になる。相手よりも先の局面を知っていれば有利なのは言うまでもない。76手目に永瀬が9筋の端歩を突っかけた手で前例を離れており、終局後に「手を変えましたが」と主催紙の記者に訊かれた。すると永瀬は「手を変えたつもりはなかった」ときっぱり返したのだ。どういう意図での発言だったのか。

「前例は参考にしていないので、手を変えていないと言いました」

永瀬はどこまでの局面を認識していたのだろうか

 前例を把握しておくことは勉強の一つのように思われるが、永瀬は藤井聡太などの一部のトップ棋士を除いて、他の棋士の棋譜をあまりチェックしていない。 

「公式戦の棋譜を見ると、過去に私が考えたことがある局面が多いんですね。私はこう指すべきだろうとわかっているのに、そう指していない棋譜も結構あります。だからあまり見ていません」と以前に語っていた。自分より勉強している棋士はほとんどいないと言っているに等しい。強烈な自負である。

 では実際に、どこまでの局面を認識していたのだろうか。〈つづく〉

#2に続く
「藤井(聡太)さんも言ってましたけど…」「結果も内容もすごく悪い」永瀬拓矢32歳が王座戦連敗後、悔やみつつ語った「人間らしさ」とは

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