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「1%-99%の大逆転、その後もスゴい…」藤井聡太22歳vs渡辺明40歳“パリ五輪並みにアツい”真夏の大決戦…観る将がマンガで描く将棋界
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/日本将棋連盟
posted2024/08/03 06:00
7月の将棋ハイライト。イラストは関連記事からご覧になれます!
第1局では渡辺九段に勝ち筋があったとされ、評価値も「藤井王位1%−99%渡辺九段」を示した中で大逆転が起き、藤井王位に勝ちが転がりこむ展開に。編集担当さん曰く……。
「別の編集さんが取材に行っていたんですが、対局場の雰囲気は非常に張りつめていたそうです。対局者はもちろんのこと、立会人の藤井猛九段に副立会人の高見泰地七段、その厳しい表情は表現に尽くしがたいとのことでした」
この対局、千日手を含めて主導権を握って指していたのは渡辺九段だったそうです。それが一瞬で暗転する怖さがまさに将棋だな、と。しかし渡辺九段は続く第2局で藤井王位相手に快勝。それも開催地の函館で指導対局+趣味の競馬観戦した上で、とか……すごすぎる。40歳となった大棋士の充実ぶりを感じます。一方で7月末に行われた第3局では、7月19日に誕生日を迎えた藤井王位が自身最長となる「3時間10分」の大長考などの激闘の末に“22歳初勝利”を飾り、一歩リードを奪いました。
「第3局は五輪と同等以上の緊迫した攻防戦に、眠気もいつしか吹っ飛んでいました。やはり2人の番勝負は面白いです……」
編集担当さんもこう言う通り、将棋界のトップに君臨する2人は第4局以降、どんな真夏の名局を見せてくれるでしょうか。
2)打倒藤井&伊藤叡王も新たな局面
2つのタイトル戦とともに、“絶対王者・藤井七冠”に挑む戦いも進んでいます。まずは22日に行われた王座戦挑戦者決定トーナメント決勝、永瀬拓矢九段が羽生善治九段に勝利して藤井王座への挑戦権を獲得しました。
「藤井−永瀬」と言えば2023年、大激闘と逆転劇の末に藤井七冠が王座を奪取して「八冠達成」を成し遂げた番勝負です。1年前の雪辱を果たして王座奪還なるか、それとも藤井七冠の王座防衛か。9月4日開幕の五番勝負は間違いなくアツくなりそう……。
竜王戦では挑戦者決定三番勝負のカードが広瀬章人九段−佐々木勇気八段に決まりました。かつて竜王に在位し、藤井七冠と竜王戦を戦った経験を持つ広瀬九段と、昨年度のNHK杯で藤井七冠相手に決勝で勝利した勇気八段のいずれが来ても、熱戦が予想されます。楽しみ……。
伊藤匠叡王も順位戦で「上座」に
さて藤井七冠と同学年で、6月にタイトルホルダーとなった伊藤匠叡王(21)は、10日の順位戦B級2組で「初のタイトル保持者としての公式戦」に臨みました。