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「日本はサッカー大国だと理解していた」取材記者が“通訳なしで”マリ監督・選手から聞いたホンネ評価「もの凄くフラストレーションを」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/07/30 19:10
マリの選手と競り合う藤田譲瑠チマ。対戦国から聞いた日本代表のリアル評価は?
「3月の日本に競争力はなかった。彼らは準備の段階だった。その後アジアカップに優勝し、ゲームを支配できるようになった。多くを学んだのだろう。3月の親善試合はそのための大きな役にたった。日本は素晴らしいチームだ。今日の内容を鑑みれば、十分にグループリーグ突破に値する」
そしてそんな日本に対して、驚きはなかったとも。
「彼らが優れたチームであるのはわかっていた。3月の対戦ではわれわれが勝ったが、日本がサッカー大国であることは理解していた。優れた選手も多い」
大岩監督が強調した「連動性と後ろの一歩前」
一方、U-23日本代表の大岩剛監督は、試合を冷静に振り返った。
「選手たちが試合前に言ったプラン通りに――前半粘りながら後半勝負だと言ったことを体現してくれたので、選手たちを褒めたいなと思います」
前半はマリのボール保持者に組織的にプレスをかけて孤立させ、マリの攻撃を分断した。その運動量とプレーの強度、無駄のないスピーディな動きは、日本の戦い方が十分に整理され、選手たちがそれを身体で理解していることを示していた。
大岩はこう述べている。
「ミドルゾーンでの守備の仕方は誰と誰がやっても――連動性と後ろの一歩前は口を酸っぱくして言ってきているので、無意識のうちにやっていると思います。それがわれわれの生命線で、プレッシングはもの凄く強調している。それを選手がピッチの中でやってくれていると評価したいと思います」
そして後半、相手の運動量が落ち守備ブロックが下がったなかでの先制点と、GK小久保玲央ブライアンのファインセーブの数々、PKのストップ……。勝利には運も必要だが、その運を自分たちで手繰り寄せた勝利といえた。大岩ジャパンらしい、コレクティブな勝利だった。
<つづく>