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「ミナミノは10点満点で8点」在仏イギリス人記者が南野拓実29歳に聞いた“不満の1年目→9ゴール”の背景「純也くん、敬斗と日本人の評価を…」
posted2024/05/24 17:02
text by
イアン・ホーリーマンIan Holyman
photograph by
Panoramic/AFLO
「フットボールは奇妙なものです。時に、些細な物事が選手のすべてを変えることがある」
これはASモナコで初めてプレーする日本人選手、南野拓実の言葉だ。現在29歳のアタッカーは2年目のフランスのリーグ・アンを戦い終えた今、昨季と今季にくっきりと明暗が分かれていることを自覚している。ちょうどモナコの独特なホームシャツに、斜めに引かれている赤と白の境界線のように。
「不満を感じていたのは事実です。でも…」
南野は2022年6月、推定移籍金1500万ユーロでリバプールから地中海沿岸の小さくて裕福な公国のクラブに加入。しかし1年目は、周囲の期待に応えられなかった。
「昨シーズンは困難でした。チーム自体がうまくいっておらず、自分もその影響を受けてしまったところがある」と明かした南野はその2022-23シーズン、リーグ戦の10試合に先発しただけで、1得点と4アシストに終わっている。提示されたイエローカードは2枚と、ゴール数より多かった。
ところが今シーズンは開幕からたったの3試合で、前季の得点数の3倍に届いた。そして先週末に全日程を終えたリーグ・アンで、モナコの2位フィニッシュと6年ぶりのチャンピオンズリーグ出場権の獲得に貢献。自身がリーグ戦で積み上げた9ゴールは、彼にとってレッドブル・ザルツブルクでの2016-17シーズン(11得点)以来となる高記録だ。
この大きな変化の要因は何か。おそらく昨季までチームを率いたフィリップ・クレモン監督(現レンジャーズ)にも、その一端を見出せるだろう。なぜなら、このベルギー人指揮官から重用されなかったことが、南野の闘争心に火をつけたのだから。
「不満を感じていたのは事実です」と南野は今季前半戦の途中に話した。
「でもそれを力に変えられたからこそ、今の自分がある。あのフラストレーションを過去のものにしたかったので」
かつての恩師のスタイルは「僕に完璧に合う」
そしてもちろん、今季に就任したアディ・ヒュッター監督の存在が大きい。