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「張本は勝てないと言われて…」卓球史に残る“死闘”を制した張本智和20歳が語った世界卓球への決意「文句なしのエースと胸を張って言える」
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byAsami Enomoto
posted2024/02/21 11:00
パリ五輪では3種目でメダル稼得を狙う日本のエース張本
直近では'23年11月のWTTチャンピオンズ・フランクフルト男子シングルス準々決勝で対戦し、1-3で張本が敗れた。このとき、キレのある林の動きに触発された張本は帰国後すぐ走り込みを始め、わずか3週間足らずで4kgの減量に成功した。
「中国選手と試合するぐらいの気持ちじゃないと勝てない相手です。サービス・レシーブが上手くて先手を取られることが多い。鍵はサービス・レシーブです」
林の方がサービスの種類が多いと感じ、サービスの改良にも取り組んだ。
「ボールの軌道をより低くしたり、ロングサービスを分かりづらく出したり。使う機会はあまり多くないけどYG(ヤングジェネレーション)サービスもいつでも出せるように練習しました。あとは投げ上げサービス。久しぶりに練習して全日本で使いました」
張本の投げ上げサービスといえば、'18年6月のITTFワールドツアー・ジャパンオープンが印象深い。当時、'16年リオ五輪金メダリストの馬龍(中国)と準々決勝で対戦し、予想以上の効果を発揮したのが、大会直前で身につけた投げ上げサービスだった。この秘策は精度の高い馬龍のレシーブをわずかに狂わせ、絶対王者と呼ばれる馬龍から初金星を挙げる切り札となった。
意識を変化させた董崎岷コーチの厳しいアドバイス
ちなみにこのとき、張本は決勝で'12年ロンドン五輪金メダルの張継科(中国)も撃破し、ツアー2度目の優勝を飾っている。
「あのジャパンオープンで勝った次の試合で馬龍選手に対策されてから、もう効かないなと思い練習をやめてしまったんですけど、他の選手に通用しないわけではない。改良したロングサービスも、今までは戸上選手に回り込まれて強打されていたところを、全日本の決勝では1球も回り込まれなかった。そこは今までと大きな違いです」
実は昨年11月のWTTチャンピオンズ・フランクフルトは張本の意識の持ち方にも変化をもたらした。その裏には董崎岷コーチの厳しいアドバイスがある。
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