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競泳ニッポン“内紛”騒動、発端は「選手への高圧的な声かけ」だった…代表コーチを電撃辞退、平井伯昌が明かす真相
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNumber Web
posted2023/08/23 06:03
競泳ニッポンに今、何が起きているのか。金メダリストを指導し、東京五輪まで日本代表HCを務め、今回の世界水泳にも同行した平井伯昌氏を直撃した
メドレーリレー決勝の時点でよほどのアクシデントがない限り予選からのメンバー変更はない、というのはチーム内(コーチ間)で共有されたコンセンサスであった。ところが青木に対しては予選後に突然委員長とヘッドコーチから鈴木聡美への交代が告げられ、しかもそのことが平井氏には共有されなかった。
「変更があるのは仕方がないです。女子100m平泳ぎ準決勝の後から、『変更するなら僕が伝えるから心配しないでくれ』とヘッドコーチに話をしていました、それが予選終了後、青木に変更を告げたことが私には共有されていなかったんです。鈴木聡美選手にもほぼ同時に決勝は頼むと話をしていたようです。私は約30分後、他の選手の練習を終えた時に他のコーチから知らされたんですよ。『玲緒樹は素晴らしい人間です。聡美さん、決勝よろしくお願いしますってお願いしていましたよ』と言われて、なんのことだろう? と驚きました。私が、委員長とヘッドコーチと他の選手の交代について心配して話をしていた時には、もう青木には変更が告げられていたんです。
目の前にいる人に正しい情報を伝えられなければ、チーム間の正しいコミュケーションなど生まれるわけはないと思いますし、激しい憤りを感じました」
この出来事だけじゃない
この日の出来事だけを取ってみても、いたるところに浮かび上がる『コミュニケーション不足』の問題。
以前からその兆候はあった。
昨年のブダペストでの世界選手権。大会前々日は選手とコーチ、スタッフでのミーティングを行ったが、前日のミーティングからは代表コーチ陣が外されたのだ。
「えっ? って思いますよね。不思議でしょう。前日だったら普通は全員で一致団結していくみたいなミーティングをするんじゃないのかなあ。コミュニケーション不足っていうのは、そうしたチームマネジメントの面での問題もあるんじゃないかと思う。だからあの日(世界水泳最終日)の出来事だけじゃないんです」
<続く>