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中村剛也39歳「史上初2000三振」は勲章だ!「統一球で48本塁打+21世紀最多461発」…最強スラッガーのアッパレな成績 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/05/02 11:04

中村剛也39歳「史上初2000三振」は勲章だ!「統一球で48本塁打+21世紀最多461発」…最強スラッガーのアッパレな成績<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2016年の中村剛也。通算2000三振は20年近くの間、パを代表するスラッガーとして活躍した勲章と言える

 今からちょうど50年前、王貞治が最初の三冠王を獲得した1973年、セ・パ両リーグは780試合で7380個の三振を記録。1試合当たり9.46個だった。しかし2022年は858試合で12509個の三振、1試合当たりでは14.58個に増加している。

 半世紀前のプロ野球では、投手は速球主体で三振を奪っていた。球速の遅い投手は奪三振が少なかった。しかし今のプロ野球では、投手の球速が上がっているうえに、フォーク(スプリット)、スライダー、チェンジアップなど空振りを奪える変化球が飛躍的に増えている。

現代野球では「三振は本塁打のコスト」という考え方

 一方で本塁打数は、1973年は780試合で1444本、1試合当たり1.85本、2022年は858試合で1304本、1試合当たり1.52本と減っている。昭和の時代のNPBの本拠地球場は両翼90m中堅110mがスタンダード、今は両翼100m中堅120m、球場が大型化すれば、当然ながら本塁打数は減少する。

 投手の技術が向上し三振を奪う手段が増えた上に、球場が大型化する中で――中村剛也など現代の強打者は、三振を恐れずにバットを振っているのだ。

 今季、昨年56本塁打を打ったヤクルトの村上宗隆は、打率1割台に落ち込み、まだ2本塁打、25試合で39三振を喫している。深刻な事態のように見えるが「三振は本塁打のコスト」であることを考えると、いずれ本塁打も増えてくるのではないか。同じ三塁手の中村剛也の数字を見ていると、そう思えてくる。

メジャーでも2000三振は7人しかいない

 150年近い長い歴史を持ち、試合数もNPBよりも多いMLBでも2000三振は7人しかいない。

 R.ジャクソン 2597三振/2820試合/563本塁打
 J.トーミ 2548三振/2543試合/612本塁打
 A.ダン 2379三振/2001試合/462本塁打
 S.ソーサ 2306三振/2354試合/609本塁打
 A.ロドリゲス 2287三振/2784試合/696本塁打
 M.カブレラ 2042三振/2714試合/507本塁打
 A.ガララーガ 2003三振/2257試合/399本塁打

 この中で三振数が試合数より多いのは、ジム・トーミとアダム・ダンだけだ。ともに21世紀に活躍したスラッガーだ。現役では今季で引退を表明している三冠王経験者のタイガース、ミゲル・カブレラの名前がある。ちなみにベーブ・ルースは以下のようになっている。

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